2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

日本薬局方-一般試験法 2.52 熱分析法

熱分析法とは、試料に徐々に熱をかけ、その変化を調べる方法です。熱分析法には加熱前後の重量を測定する熱重量測定法と、加熱中の試料の熱吸収・熱放出を測定する示差走査熱量測定法(Differential Scanning Calorimetry, DSC)の2つがあります。熱重量測定…

日本薬局方-一般試験法 2.51 導電率測定法

導電率とは、抵抗率の逆数を指します。抵抗率は単位面積・単位長さ当たりの抵抗のことを指しますので、導電率は抵抗の長さ・面積で標準化した電気の通りやすさの指標と言えます。標準化をしない値はそれぞれ抵抗、コンダクタンスと呼ばれます。コンダクタン…

日本薬局方-一般試験法 2.50 滴定終点検出法

滴定とは、試料に試薬を滴下し、化学反応量を測定する方法です。滴定にはいくつかのタイプがあります(酸・塩基、沈殿、錯、酸化還元)。それぞれ化学反応の形式が異なります。滴定では、化学反応を起こす試薬を試料に少しずつ加え、完全に反応が完了した時…

日本薬局方-一般試験法 2.49 旋光度測定法

旋光とは、光の波の方向が物質を透過することにより回転する現象のことです。この回転の角度は、その物質に含まれる光学異性体に依存し、回転の角度のことを旋光度と呼びます。光学異性体とは、同じ化学構造を持つが、立体配置が異なるもののことを指します…

日本薬局方-一般試験法 2.48 水分測定法

水分測定法は、カールフィッシャー法を用いて、化学的に試料中の水分を測定する方法です。カールフィッシャー法では、水が有機塩基存在下でヨウ素・二酸化硫黄と反応することを利用し、反応に用いられなかったヨウ素・ヨウ化物イオンの量を測定することで水…

日本薬局方-一般試験法 2.47 浸透圧測定法

浸透圧とは、水の濃度が高い(溶質が少ない)ところから、水の濃度が低い(溶質が多い)ところへと水が移動する圧力のことを指します。普通に濃度の異なる溶液同士を混ぜると濃度は均一になるため、この浸透圧は観測できませんが、間に浸透膜があると、溶質…

日本薬局方-一般試験法 2.46 残留溶媒

*平成10年発出の厚生労働省ガイドラインを参考にし手」作成していたため、残留溶媒のリストが現行のものと異なっていました。20年8月2日に修正しました。残留溶媒とは、製造工程で使用・生成する揮発性有機化学物質、いわゆる有機溶媒のことです。医薬品の…

日本薬局方-一般試験法 2.45 屈折率測定法

屈折率とは、大気と物質の境界で、光が曲がる割合のことを指します。屈折率には光の波長と温度、大気圧が影響を及ぼします。大気を真空にしたときの屈折率を絶対屈折率とよび、Nで表します。屈折率は等方性の物質で固有の値を示すため、物質の純度や2物質の…

日本薬局方-一般試験法 2.43 強熱減量試験法

強熱減量試験法とは、試料を高温で加熱し、減量を測定する方法のことです。強熱することで構成成分の一部を失う(炭化などの形で変化する)無機薬品に主に用います。測定に用いる試料の量、温度、時間は各医薬品につき、各条に記載されています。例として、4…

日本薬局方-一般試験法 2.42 凝固点測定法

凝固点とは、液体から固体への相転移温度のことを指します。普通は融点と同一温度です。ただし、過冷却(凝固点以下でも固体への相転移が起こらない現象。撹拌すると解消される)になると、凝固点が下にシフトしたように見えるようになります。したがって、…

日本薬局方-一般試験法 2.41 乾燥減量測定法

乾燥減量測定法は、加熱・乾燥により、試料から失われる重量を測定する方法です。試料に含まれる付着水、結晶水、揮発性物質の量を測定する方法の一つです。医薬品各条には、乾燥減量測定の規格が記載されています。規格の表記は、減量の規格(試料の量、測…

日本薬局方-一般試験法 2.25 赤外吸収スペクトル測定法

赤外吸収スペクトルとは、赤外線が試料に吸収される度合いを各波長で測定したものです。一般的に横軸に赤外線の波長、縦軸に光吸収を取る曲線で示されます。これは紫外可視吸光光度法の吸光スペクトルと同様です。装置には分散型とフーリエ変換型の2種類があ…

日本薬局方-一般試験法 2.24 紫外可視吸光光度測定法

紫外・可視吸光光度とは、波長200~800 nmの光が物質(普通は液体)に吸収される度合いのことです。紫外光は200~400 nm、可視光は400~750 nm、近赤外光は750~800 nmの波長を持つ光のことを指します。光吸収を測定するため、液体の試料は透明石英のセルと呼…

日本薬局方-一般試験法 2.23 原子吸光光度法

原子吸光とは、高温で原子化させた試料の光吸収を測定する方法です。原子吸光は原子により吸収する光の波長が異なり、さらに光吸収と原子の濃度に相関があります。吸光率(I/Io)の対数にマイナスをつけたものを吸光度と呼びます。この吸光度は光が試料を通…

日本薬局方-一般試験法 2.22 蛍光光度法

物質が光を吸収すると、その電子のエネルギー準位が高くなります。これは、電子が光エネルギーを吸収し、高エネルギー状態になったことを指します。電子の持ったエネルギーは時間とともに解消され、熱と光になります。このうち、電子のエネルギーが光に変換…

日本薬局方-一般試験法 2.21 核磁気共鳴スペクトル測定法

核磁気共鳴はNMR(Nuclear Magnetic Resonance)と呼ばれる現象で、0でない各スピン量子数、磁気双極子モーメントを持つ原子の核の状態を調べる方法です。このような原子に磁場をかけると、特定の周波数の電磁波(正確には光の一種ではなく、光が電磁波の一…

日本薬局方-一般試験法 2.04 タンパク質のアミノ酸分析法

タンパク質はアミノ酸が結合し、長鎖になったものです。タンパク質のアミノ酸分析法では、タンパク質をアミノ酸に分解し、アミノ酸をそれぞれ同定する方法について記載しています。タンパク質はアミノ酸同士がペプチド結合(アミドとカルボキシル基が脱水縮…

日本薬局方-一般試験法 2.03 薄層クロマトグラフィー

薄層クロマトグラフィーは、ガラス表面に薄く固定層を広げ、その薄い固定相上で物質を分離するものです。移動相は液体で、毛細管現象によって固定相を下から上に移動していきます。固定相内での移動速度の差により、試料は分離され、色などで検出することが…

日本薬局方-一般試験法 2.02 ガスクロマトグラフィー

ガスクロマトグラフィーとは、移動相・試料が気体のクロマトグラフィーのことです。化学物質の混合物を分離し、測定するという意味では液体クロマトグラフィーと同じです。ガスクロマトグラフィーの移動相は、一般的に不活性なガス(ヘリウム・アルゴン・窒…

日本薬局方-物理的試験法 2.01 液体クロマトグラフィー

日本薬局方には、一般試験法という医薬品一般に用いられる品質試験について記載した文があります。一般試験法には大項目が8つあり、化学的試験法から始まります。しかし、この化学的試験法は物理的試験法を後方参照しており、物理的試験法を理解せずに化学的…

日本薬局方-生薬関連製剤各条

生薬関連製剤各条は、生薬を用いた製剤に関する剤形を記載したものです。生薬の製剤は通常の医薬品と比較して少なく、エキス剤、丸剤、酒精剤、浸剤・煎剤、茶剤、チンキ剤、芳香水剤、流エキス剤の8つに分類されています。エキス剤は生薬の浸出液を濃縮した…

日本薬局方-製剤各条 皮膚などに適用する製剤

皮膚などに適用する製剤は、皮膚に塗布して有効成分を吸収するものです。皮膚から血流に有効成分を取り込み、全身の作用を期待するタイプの製剤を含みます。外用固形剤、外用液剤、軟膏剤、貼付剤に大きく分類されます。外用固形剤は、皮膚に塗布・散布する…

日本薬局方-製剤各条 直腸・膣に適用する製剤

直腸に適用する製剤とは、肛門から投与して、直腸で有効成分を吸収する製剤です。坐剤、直腸用半固形剤、注腸剤の3タイプがあります。坐剤は体温で溶融、もしくは徐々に溶解する半固形のものです。体温で加熱溶融する油脂(カカオ脂など)がよく用いられます…

日本薬局方-製剤各条 気管支・肺・目・耳・鼻に適用する製剤

気管支・肺・目・耳・鼻に適用する製剤は、それぞれ有効成分を各器官へと直接作用させるタイプの製剤です。製剤各条では、5. 気管支・肺に適用する製剤から、8. 鼻に適用する製剤に記載されています。気管支・肺に適用する製剤は、主に有効成分を吸入して有…

日本薬局方ー製剤各条 透析に用いる製剤

透析に用いる製剤とは、透析に用いる液体、もしくは用事溶解して用いる固体の製剤のことです。透析に用いる製剤には2種類あり、1つは腹膜透析用剤、もう一つは血液透析用剤です。透析用剤の品質試験として、エンドトキシン試験法、製剤均一性試験法(固体の…

日本薬局方-製剤各条 注射剤

注射剤とは、皮下・筋肉内・血管に直接投与する製剤で、溶液・懸濁剤・乳濁液・用事溶解する固体・用事懸濁する固体などの形で提供されます。注射剤は体内に直接投与するため、その無菌性が重要となります。無菌性を確保するため、製造時に滅菌・もしくは製…

日本薬局方-製剤各条 口腔内に適用する製剤

口腔内に適用する製剤とは、主に口の中で有効成分を吸収する製剤のことです。口腔に適用する製剤には、口腔用錠剤、口腔用液剤、口腔用スプレー剤、口腔用半固形剤があります。いずれも、口腔内に長く保持することで口腔、咽頭での有効成分の吸収を行うもの…

日本薬局方-経口投与する製剤 錠剤以外の製剤

経口投与する製剤には、錠剤の他にカプセル剤、顆粒剤、散剤、経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤などがあります。カプセル剤は、有効成分と添加剤を混ぜ、カプセルに充填したものです。カプセルには硬いもの(ゼラチンなどでできている)と、柔らかいもの…

日本薬局方-製剤各条 錠剤

錠剤は経口投与する固形製剤の一つであり、その製造のしやすさ、服用のしやすさ、取り扱いのしやすさから、最も一般的な剤形の一つです。利用しやすい形の錠剤の形でたくさんの用途を満たすため、錠剤には多数の種類があります。錠剤には、口腔内崩壊錠(口…

日本薬局方-製剤各条 概要

製剤各条とは、剤形(医薬品の形と種類)に共通する定義・製法・試験法・容器・包装・貯法を示したものです。剤形には大きく分けて11の分類があり、さらに個別に小分類があります。経口投与する製剤は口から飲んで、消化管から有効成分を取り込むものです。…