日本薬局方-一般試験法 2.46 残留溶媒

平成10年発出の厚生労働省ガイドラインを参考にし手」作成していたため、残留溶媒のリストが現行のものと異なっていました。20年8月2日に修正しました。

残留溶媒とは、製造工程で使用・生成する揮発性有機化学物質、いわゆる有機溶媒のことです。医薬品の製造、特に原薬の製造工程では様々な溶媒を使用します。溶媒は製造工程で取り除きますが、完全に除去することはできません。製品の添加物として溶媒を加える場合を除き、一般的に残留溶媒は治療には役立ちません。なので、できるだけ除き、どれだけ除くことができたかを試験で確認します。

医薬品の残留溶媒ガイドラインには、安全性データとそれに則った許容できる残留溶媒の量が記載されています。このガイドラインと同様の記載が日局にもあります。残留溶媒の毒性にはクラス1からクラス3までに分類されています。クラス1の残留溶媒は発がん性がある、もしくは疑われる溶媒です。クラス2は動物で発がん性が確認されているもの、神経毒性、催奇形性をもつ溶媒です。クラス3は比較的低毒性のものです。クラス1と2の有機溶媒にはPDE(Permitted Daily Exposure、1日の許容曝露量)、濃度限界値(医薬品に含まれてもよい最大の濃度)が規定されています。クラス1は濃度限界値のみ、クラス2には濃度限界値とPDEの両方が設定されています。クラス3の溶媒のPDEは50mg/dayに設定されています。一日の処方量が10g以下の場合、5000ppm以下を規格とします。

クラス分けに含まれない溶媒も存在します。これらの溶媒には毒性データが無く、PDEの計算根拠がありません。しかし、このような溶媒においても、残留が認められる場合にはその妥当性を提示する必要があります。

PDE、濃度限界値から、それぞれのクラスにおいて残留溶媒の規格値が定められています。クラス3のみを含む場合には、乾燥減量が0.5%以下であることを確認します。クラス2のみのときは濃度限界値以下であること、2と3を含むときにはクラス2のみ、クラス3のみの両方の規格を満たす必要があります。クラス1を含む場合には溶媒を同定・定量する必要があります。残留溶媒の測定法には基本的にガスクロマトグラフィーを用います。クラス3のみの場合には乾燥減量を測定することで代用可能ですが、普通の医薬品は水分を多少含むため、ガスクロマトグラフィーで測定するほうが一般的だと思われます。試料は溶解し、測定します。測定方法については日局に詳細な記載がありますが、複雑ですのでココでは省略します。