日本薬局方-一般試験法 2.52 熱分析法

熱分析法とは、試料に徐々に熱をかけ、その変化を調べる方法です。熱分析法には加熱前後の重量を測定する熱重量測定法と、加熱中の試料の熱吸収・熱放出を測定する示差走査熱量測定法(Differential Scanning Calorimetry, DSC)の2つがあります。

熱重量測定法は、試料を加熱しながら、試料の重量変化を測定する方法で、基本的には乾燥減量測定法と同様です。温度校正、天秤の校正法に指定があることが乾燥減量測定法とは異なります。

DSCは試料を徐々に加熱し、試料の熱吸収・熱放出を測定する方法です。DSCの結果から、融解熱、相転移、水分蒸発などの温度と変化熱量を知ることができます。純度・化学変化・結晶化度などの決定に用いられます。DSCには熱保証型と熱流束型があります。熱保証型は試料と標準用のセルのヒーターが独立で、2つの温度差が0になるヒーターへの電流量を測定するものです。熱流束型ではヒーターは1つで、2セルの温度差を測定するものです。DSCの出力として、横軸に温度、縦軸に熱流量を取った熱曲線が得られます。温度は徐々に上げながら測定しますが、逆に冷えていく過程を測定することもできます。熱流量の低下は熱吸収を、上昇は熱発散(熱放出)を反映しています。熱滴変化は試料の相変化に対応しています。相変化温度は物質により異なるため、相変化温度を純度試験などに利用することができます。DSCの使用前には校正が必要です。測定は基本的に自動で行われるため、試料を準備すれば熱曲線を自動的に得ることができるようになっています。