生物学的同等性試験ガイドライン 同等性パラメータの計算法

生物学的同等性試験では、標準製剤と試験製剤での血中濃度データ(PK)を解析し、同等性の判定を行います。同等性の判定はAUC(Area under curve)とCmax(最大血中濃度)で行いますが、その他のパラメータも計算し、同等性への影響を確認しておく必要があります。

生物学的同等性試験ガイドラインに記載されているように、同等性試験は通常クロスオーバー法を用いて行います。クロスオーバー法では先発製剤、後発製剤の投与の間に休薬期間を設けます。この休薬期間内に有効成分が消失しないような場合には並行群間を用いてもよいとされています。

同等性パラメータは血中濃度の時間変化から計算するパラメータです。CmaxとAUCの他に、Tmax(Cmaxを達成する時間)、T1/2(Cmaxの半分まで血中濃度が下がる時間)、MRT(平均滞留時間)Kel(消失速度定数)などを計算します。CmaxやTmax、T1/2は血中濃度曲線から読み取り、AUC、MRT、kelは計算式から求めます。AUCは通常台形法を用いて計算します。測定時間の間の濃度変化と時間の差から第京面積を計算し、それを足し合わせる方法です。血中濃度曲線の下の面積を計算することになります。kelと最後の血中濃度測定値(Clast)から無限時間後までのAUC(AUC∞)を計算し、AUC∞とAUCの比から休薬期間を推定する場合もあります。kelは血中濃度曲線の減少率を直線回帰で求める場合と、コンパートメントモデルから計算する場合があります。AUMCは濃度×時間の積算計算値で、MRTの計算に用います。MRTはAUMCとAUCの比を指し、薬物の体内での滞留時間を示すパラメータです。

クロスオーバー法では、被験者のばらつきだけでなく、薬物間、時期間、群間に差が生じる場合があるため、分散分析を用いて各間に差があるかどうか検証しておく必要があります(実際には差が検出されなくても、差が本当にないかどうかはわからないので必要な過程なのか微妙なところですが、ルールとして定められています)。分散分析ではなく、線形混合モデルで被験者のばらつきをランダム効果として計算する場合もあります。クロスオーバー法で3剤の比較をする場合には、3x6のクロスオーバー法を用います。これは、3x3のクロスオーバーだと群を等分できないためです。

信頼区間の計算は同等性試験ガイドラインに記載の通り、平均値の比の90%信頼区間が0.8~1.25であることが条件となります。有意水準5%の片側検定を2回行う方法もありますが、あまり一般的ではありません。90%信頼区間はt分布から求めることができます。

例数設計は、第一の過誤が0.05となるように調整した上で、検出力が80%となるよう設計するのが一般的です。同等性試験での例数は通常t分布から計算します(正確には非心2次元t分布を用いて計算するため随分複雑な計算になりますが、t分布を使用した方法とそれほど差は大きくなりません)。