日本薬局方-一般試験法 2.22 蛍光光度法

物質が光を吸収すると、その電子のエネルギー準位が高くなります。これは、電子が光エネルギーを吸収し、高エネルギー状態になったことを指します。電子の持ったエネルギーは時間とともに解消され、熱と光になります。このうち、電子のエネルギーが光に変換されたものを蛍光と呼びます。蛍光には早く放出されるものと、遅く放出されるものがあり、遅く放出されるものをリン光と呼びます。蛍光光度法は、蛍光とリン光を対象に、蛍光の強度を調べるものです。

電子が吸収した光エネルギーは熱と蛍光になります。したがって、熱になる分だけ蛍光のエネルギーは吸収光より小さくなります。光エネルギーは波長によって決まり、波長が短いほどエネルギーは高くなります。したがって、蛍光は吸収光と比べて波長が長く、赤色にシフトすることになります。

蛍光光度法では、溶液に光を当て、放出される蛍光の強度を調べる方法です。蛍光強度は比例定数、蛍光の量子収率(吸収エネルギーのうち、蛍光に変換される分の割合のこと)、励起光の強さ、溶液のモル吸光係数、溶液濃度、セルの長さに依存します。これらのうち、溶液濃度以外は一意に決定されているので、蛍光強度は試料の濃度と試料の種類のみに依存します。蛍光光度は蛍光分光光度計を用います。吸光光度計と同様に1x1cmの石英セルを用い、励起波長を変えてある波長での蛍光を連続測定します。濃度計算は標準品との比較で行います。