日本薬局方-製剤各条 口腔内に適用する製剤

口腔内に適用する製剤とは、主に口の中で有効成分を吸収する製剤のことです。口腔に適用する製剤には、口腔用錠剤、口腔用液剤、口腔用スプレー剤、口腔用半固形剤があります。いずれも、口腔内に長く保持することで口腔、咽頭での有効成分の吸収を行うものが多くなっています。

口腔内錠剤は、口に保持する錠剤で、トローチ剤、舌下錠、バッカル錠、付着錠、ガム剤があります。製法や試験法、容器については錠剤と同様です。トローチ剤は口の中で溶かして利用するもので、窒息を防ぐ形をしている必要があります。舌下錠は舌の下に保持するもので、2分程度で崩壊するものです。消化管からの吸収ではないため、肝臓を通過せずに有効成分を血中に取り込むことができます。肝臓を通過すると、有効成分は分解されます(肝初回通過効果)。このため、肝臓で分解されやすい有効成分でも、比較的低い濃度で利用することができます。バッカル錠は臼歯と頬の間、付着状は口腔粘膜に付着させるもの、ガム剤は噛んで有効成分を放出するものを指します。

口腔溶液剤は、口の中に適用する液状またはゲル状のものです。基本的に経口液剤と同じ特徴を持ちます。含嗽剤とは、うがい薬のことです。経口液剤の一つです。口腔用スプレー剤は、有効成分を霧・粉末・泡・ペーストとして噴霧するもので、噴霧器具が必要です。噴霧器具を用いる場合には、噴霧量の均一性を確保する必要があります。容器は密閉容器で、耐圧のものを用います。口腔用半固形剤は、クリーム・ゲル・軟膏のうち、口腔内に適用するものです。製法は皮膚用のものと同様です。繰り返し使うものには微生物の繁殖を抑える保存剤を加えることができます。