日本薬局方-製剤各条 皮膚などに適用する製剤

皮膚などに適用する製剤は、皮膚に塗布して有効成分を吸収するものです。皮膚から血流に有効成分を取り込み、全身の作用を期待するタイプの製剤を含みます。外用固形剤、外用液剤、軟膏剤、貼付剤に大きく分類されます。

外用固形剤は、皮膚に塗布・散布する固形の製剤です。外用散剤のみが外用固形剤に分類されます。製法・試験法・容器はほぼ経口散剤と同じです。

外用液剤は、皮膚に塗布する液状のものです。外用液剤にはリニメント剤、ローション剤、スプレー剤があり、変質しやすい場合には用事調製します。品質試験として製剤均一性試験を行い、容器は気密容器です。リニメント剤は泥状の製剤です。液体・ゲルに酸化亜鉛などの粉末が含まれています。ローション剤は水性の製剤で、有効成分は溶媒に溶解・乳化もしくは分散しています。スプレー剤は有効成分を噴霧する製剤で、圧縮ガスで吹き出すもの(外用エアゾール剤)とポンプで吹き出すもの(ポンプスプレー剤)があります。外用エアゾール剤は圧縮ガスを用いるため、耐圧性容器が必要です。ポンプスプレー剤はポンプの装着が必要です。共に品質試験として噴霧量の均一性を確認する必要があります。

軟膏剤は、皮膚に塗布する半固形の製剤です。油脂を含むものと水性のものがあり、適度な粘性を持ちます。油脂としてはロウやパラフィンを用い、水性の製剤ではマクロゴールなどで粘調な液にします。容器は液剤と同様です。クリーム剤は軟膏剤と類似していますが、油脂と水分を乳化したものを指します。ワセリンや高級アルコールと水、有効成分を混ぜ、高速で撹拌することで乳化します。ゲル剤も同様の粘調な製剤ですが、高分子物質や粘調な性質を持つ有機溶媒(グリコールなど)を用いてゲル状にしています。

貼付剤は皮膚に貼り付けるもので、テープ剤とパップ剤があります。共に支持体(有効成分を含む粘着体)をフィルムや布に塗布したもので、品質試験として製剤均一性・粘着力試験・放出試験を行います。経皮吸収型製剤(皮膚から血中に有効成分を取り込み、全身作用を期待するもの)も貼付剤にあたります。テープ剤は基剤に水を含まず、薄いフィルム状の製剤です。パップ剤はいわゆる湿布で、基剤に水を含み、布に展延したものを皮膚に貼り付けて利用します。