粉体特性2

錠剤の製造において、粉体の特性は重要な要素となっています。2では、粉体特性の詳細についてまとめました。

流動性の測定法として、回転式ドラムや振動フィーダーでの雪崩的な流動が起こる角度・速度で評価するDynamic test methodというものもあるようですが、安息角ほどには一般的には利用されていないと思います。

圧縮成形性に関わるパラメータは経口錠剤の製造では特に重要となります。圧縮成形性は表面エネルギー、弾性、可塑性、静電力による影響を受けます。粒子径や粒子の形状による影響も受けます。

圧縮成形時には弾性と可塑変形、脆性や延性破壊が起こります。弾性変形は弱い力により物質が変形し、力が抜けるともとに戻るような変形を指します。粒子間の距離や弱い力で変形する場合に影響を与えます。可塑変形は圧縮成形の主な要素で、力のかかる方向に変形した後、力が抜けてももとに戻らないような変形を指します。弾性変形は力と変形が比例しますが、可塑変形では比例しなくなります。錠剤を錠剤の形のままにとどめておくのは可塑変形によります。脆性や延性破壊は強い力により粒子が割れることを指します。通常波粒子の裂け目が力により広がることで粒子が割れます。圧縮成形ではそれほど見られず、錠剤の硬度試験(割れ試験)で重要な要素となります。粘弾性は弾性変形の範囲でゆっくりと可塑変形が起こるような状態を指します。力がかかる時間に依存して変形し、打錠速度を変更する場合には重要な要素となります。

錠剤化の指標として、錠剤固形分の引張強度と変形圧力の比(粘弾性指標)が重要であるとされています。この比が低いと錠剤は割れやすくなります。打錠圧力と体積の比の変化を調べるとその粉体の可塑性を調べることができます。打錠中の圧密体積と打錠機から出てきた錠剤の体積ではやや異なり、後者はやや弾性により厚めになるようです。打錠中の値は粉体特性、打錠後の値は錠剤特性に依存しているようです。