2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

日本薬局方-一般試験法 3.02 比表面積測定法

比表面積とは、粉体の体積あたりの表面積のことです。比表面積測定法では、粉体の表面に吸着される気体の量から粉体の表面積を求めます。粉体にはファンデルワールス力(近距離にある分子同士にはたらく引力のこと)により気体が吸着します。この気体の吸着…

日本薬局方-一般試験法 3.01 かさ密度及びタップ密度測定法

かさ密度とタップ密度測定法は、粒体・粉体の見かけの密度を測定する方法です。かさ密度は試料を緩やかに充填して測定し、タップ密度はその名の通り、容器をタップすることで密に充填して測定します。かさ密度とは、緩やかに充填した間隙を含む粉粒体の体積…

日本薬局方-一般試験法 1.15 硫酸呈色物試験法

硫酸呈色物試験法とは、硫酸と反応して液が着色する不純物を特定する方法です。JIS規格でも規定されている試験法ですが、何を対象として調べているのかははっきりしません。呈色については色の比較試験法<2.65>で調べます。操作法は単純で、試料に硫酸を加え…

日本薬局方-一般試験法 1.14 硫酸塩試験法

硫酸塩試験法は、医薬品に含まれる硫酸塩の限度試験です。硫酸バリウムの生成にともなう白色沈殿の発生を標準液と比較することで、試料に含まれる硫酸塩が規格より少ないことを確認します。試験法は比較的単純で、試料を水に溶かし、希塩酸1mLを加え50mLとし…

日本薬局方-一般試験法 1.13 油脂試験法

油脂試験法は、医薬品やその原料に含まれる油脂について、融点、凝固点、比重、酸価、けん化価などを測定するものです。油脂試験法の対象となるのは、脂肪、脂肪油、ろう、脂肪酸、高級アルコールなどです。油脂はその融点によって、常温で固体、液体、混濁…

日本薬局方-一般試験法 1.12 メタノール試験法

メタノールは体内で酸化され、ホルムアルデヒド、ギ酸を発生させるアルコールです。ホルムアルデヒド・ギ酸は共に強い毒性を持つため、医薬品中への混在を防ぐ必要があります。メタノール試験法はメタノールの限度試験で、溶媒などに用いられるエタノール中…

日本薬局方-一般試験法 1.11 ヒ素試験法

ヒ素は強い毒性と発がん性を持つ物質です。ヒ素酸化物の一部は医薬品としても利用されますが、基本的には人体への取り込みを避けるべき物質です。医薬品に混入するヒ素の量の限度試験がヒ素試験法です。ヒ素はヒ化水素として収集し、塩化銀錯体の呈色により…

日本薬局方-一般試験法 1.10 鉄試験法

鉄試験法は鉄の限度試験で、医薬品に混在する鉄の量が規定量を超えないことを確認するための試験方法です。鉄の量は鉄としてppmで表します。試験液の調整法には3法が設定されており、より番号の大きいものほど溶けにくい試料に対応しているようです。鉄の量…

日本薬局方-一般試験法 1.09 定性反応

定性反応とは、医薬品中に特定の元素・分子・イオンが含まれていることを確認するための試験のことです。50種以上の物質に対してそれぞれ方法が定められています。すべての方法について網羅するために、プレゼンテーションは5つに分けています。それぞれ約10…

日本薬局方-一般試験法 1.08 窒素定量法

窒素定量法とは、試料に含まれる窒素をアンモニアとして捕集し、滴定によって窒素量を測定する方法です。セミクロロケルダール法を用いる方法で、窒素有機化合物を硫酸で加水分解しアンモニア性窒素を発生させます。アルカリでアンモニアを遊離させた後、蒸…

日本薬局方-一般試験法 1.07 重金属試験法

多くの重金属は人体にとって有害です。医薬品への重金属の混入を調べる試験が重金属試験法です。重金属試験法は重金属の限度試験で、重金属の含量が規格上限を超えないことを確認します。重金属の基準として鉛の量を用い、重金属量を鉛の量で換算して調べま…

日本薬局方-一般試験法 1.06 酸素フラスコ燃焼法

酸素フラスコ燃焼法とは、酸素を満たしたフラスコ内で有機化合物を燃やし、有機化合物に含まれるハロゲンや硫黄の量を測定する方法です。燃焼は有機化合物を分解し、灰分を得るために利用します。酸素フラスコ燃焼法では、燃焼に耐える肉厚のフラスコ、燃焼…

日本薬局方-一般試験法 1.05 鉱油試験法

鉱油とは、石炭・石油・天然ガスなど、生物以外の鉱物を由来とする油のことです。局方では、ワセリンが代表的な鉱油です。鉱油には芳香族、パラフィン、ナフテン系などがあります。鉱油試験法は非水溶性製剤の注射剤、点眼剤に適用し、試料に鉱油が含まれな…

日本薬局方-一般試験法 1.04 炎色反応試験法

炎色反応とは、金属やハロゲンの溶液を無色の炎に入れると、その物質により異なる色で炎が発色する反応のことです。溶液中の元素の確認に用いられます。無色の炎としてブンゼンバーナー(化学実験に使う、普通のガスバーナーのこと)を用います。基本的な原…

日本薬局方-一般試験法 1.03 塩化物試験法

塩化物試験法とは、医薬品中に含まれる塩化物を塩素として測定する方法です。塩化銀の白色沈殿生成を指標として塩素の量を比較液と比較します。比較液には塩酸を用います。試料を硝酸、水で溶解した後、硝酸銀溶液を加え、光を避け放置することで沈殿が生じ…

日本薬局方-一般試験法 1.02 アンモニウム試験法

アンモニウム試験法とは、医薬品に含まれるアンモニウムイオンの量を測定する方法です。医薬品中のアンモニウムイオンを蒸留によりアンモニアとして気化し、水中でアンモニウムイオンとして捕捉します。蒸留法には大気圧下で行うものと、減圧下で行うものの2…

日本薬局方-一般試験法 1.01 アルコール数測定法

日本薬局方の一般試験法とは、医薬品の品質評価に関わる試験法について、手順や規格、装置などを定めたものです。方法は山のようにたくさんあります。物理的試験法のはじめ(2.01 液体クロマトグラフィーを参照)に記載したように、一般試験法のはじめには化…

日本薬局方-一般試験法 2.65 色の比較試験法

色の試験法とは、比較溶液と色を比較することで、試験する液の色を特定するものです。基本的には目視で、比較溶液と試液の色を比べます。色の比較試験法では、比較溶液を規格通りに揃える必要があります。日本薬局方には比較液として、コバルト、鉄、銅イオ…

日本薬局方-一般試験法 2.64 糖鎖試験法

糖鎖試験法における糖鎖とは、糖タンパクとしてタンパク質に結合している糖鎖を指します。糖鎖はアスパラギンに結合するN-結合型とセリン/トレオニン(音はスレオニンに近いと思うのですが、日局ではトレオニンと記載)に結合するO-結合型があります。タンパ…

日本薬局方ー一般試験法_2.63_誘導結合プラズマ発行分光光度法及び誘導結合プラズマ質量分析法

誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma, ICP)とは、高温のアルゴンプラズマにより試料を励起する方法のことです。プラズマ中に試料を噴霧することで、試料中の原子を励起します。励起した試料の原子発光を測定、もしくは励起をイオン化としてMSに利…

日本薬局方-一般試験法 2.62 質量分析法

質量分析とは、イオンの電荷と質量の比を利用して、物質を分離・検出する方法です。一般的にMS(Mass Spectrometry)と呼ばれます。イオンの電荷(z)と質量(m)の比(m/z)により物質を分離し、検出するため、m/zと信号の強さのスペクトルを得ることができ…

日本薬局方-一般試験法 2.61 濁度試験法

濁度とは、純度試験の溶状における、濁りの度合いの指標のことです。測定方法はたくさんあり、目視や透過光、散乱光強度などを測定することで示すことができます。目視法では、白色微粒子の濁りを目で確認する方法です。標準としてホルマジン乳濁標準液の希…

日本薬局方-一般試験法 2.58 粉末X線結晶回折測定法

粉末X線回折測定法とは、X線の回折現象を利用して物質の特定・定量を行う方法です。回折とは、波の性質を持つものが障害物に当たったときに、直進だけでなく障害物を回り込むように進む現象です。波の性質を持つものに固有の現象で、光や音、水面の波などで…

日本薬局方-一般試験法 2.60 融点測定法

融点は、固体と液体の相変異の温度のことです。融点では、固体と液体は平衡状態にあります。融点は物質固有の値を取り、物質の同定や純度の指標となります。日本薬局方では、融点の定義として固体を加熱し、固体がすべて液体になる融け終わりの温度を指すと…

日本薬局方-一般試験法 2.59 有機体炭素試験法

有機体炭素試験法とは、水溶液中の有機炭素に含まれる炭素量を測定する方法です。一般的に、水中・水溶液中には有機体の炭素と無機炭素(CO2など)が存在します。有機体の炭素のみを測定するためには、全部の炭素量を測定した後、無機炭素を別途測定し、差し…

日本薬局方-一般試験法 2.57 沸点測定法及び蒸留試験法

沸点は液体が激しく気化し、相変化する温度のこと、蒸留は液体を温め、発生した気体を冷やして液体を得ることを指します。基本的には、気化・凝縮の相変異は同じ圧力であれば同じ温度で起こります。このため、蒸留装置を利用し、沸点も測定します。沸点測定…

日本薬局方-一般試験法 2.56 比重及び密度測定法

密度、比重とは、単位体積あたりの質量(密度)もしくはある温度における等体積の試料と水の質量の比(比重)を指します。水の密度はほぼ1g/cm3ですので、密度と比重は近い値になります。密度・比重の測定法には4種類あります。1つ目は比重瓶による測定です…

日本薬局方-一般試験法 2.55 ビタミンA定量法

ビタミンAとは、レチノールのことを指します。レチノールは水に不溶なビタミンの一つです。レチノールは非常に酸化しやすく、光・乾燥・高温条件下で不安定な物質です。生体内では、皮膚細胞の分化、目での光受容において役割を持ちます。ビタミンAを含む製…

日本薬局方-一般試験法 2.54 pH測定法

pHとは、水素イオン濃度の対数をマイナスにとったものです。水は一定の割合で電離し、水素イオン、水酸化物イオンになります。この水素イオンと水酸化物イオンの積は1.0x10の-14乗になります。このうち、水素イオンのみを対数に取り、マイナスを取るとpHにな…

日本薬局方-一般試験法 2.53 粘度測定法

粘度とは、物質の粘りの度合いのことです。普通は液体の性質を指しますが、一部の固体にも適用されます。粘度の単位はパスカル秒です。粘度は温度の影響を受けます。粘度の計算は、2枚の板の間に試料を挟み、板を平行移動させたときのせん断応力から計算しま…