日本薬局方-一般試験法 2.53 粘度測定法

粘度とは、物質の粘りの度合いのことです。普通は液体の性質を指しますが、一部の固体にも適用されます。粘度の単位はパスカル秒です。粘度は温度の影響を受けます。粘度の計算は、2枚の板の間に試料を挟み、板を平行移動させたときのせん断応力から計算します。せん断応力は移動時の力と板の面積に依存します。粘度は、せん断応力を相対速度と板の間隔の比から計算したときの係数として計算されます。

液体にはニュートン流体と非ニュートン流体と呼ばれるものがあります。一般的にせん断応力と板の移動速度には正の相関があります。ニュートン流体では、この正の相関が比例関係となります。非ニュートン流体は正の相関が比例関係では無いものを指します。長い鎖状の物質など、液体中の配向が粘度に影響を与えるものが非ニュートン流体になる傾向があるようです。

粘度の測定法は大きく分けて2つあります。1つは毛細管粘度計法とよばれるもので、細い管の中を試料が落ちる速度を測定し、粘度を計算する方法です。もう一つは回転粘度計法で、板や筒を試料中で回転させ、せん断応力を測定する方法です。

毛細管粘度計法では、ニュートン流体の粘度を測定します。液体が毛細管を通って落ちる時間、液体の密度、係数から粘度を計算します。この際に、物質の濃度と粘度の関係を直線関係で取ると、直線の切片が0にならず、正の値を示すことがあります。この切片を極限粘度と呼びます。極限粘度は高分子物質の広がりの度合い、分子量を反映します。毛細管法では、ウベローデ型粘度計と呼ばれるものを用います。ウベローデ型粘度計は試料を細管の上まで吸い上げ、標線から標線まで落ちていく速度を測定する装置です。

回転粘度計法は、非ニュートン流体にも利用できる方法です。装置は3種類あり、それぞれ共軸二重円筒形回転粘度計、単一円筒形回転粘度計、円すい-平板型回転粘度計と呼びます。原理はすべてほぼ同じで、試料液中に回転する筒、もしくは円すいを入れ、回転時のせん断応力から粘度を測定します。