日本薬局方-一般試験法 2.56 比重及び密度測定法

密度、比重とは、単位体積あたりの質量(密度)もしくはある温度における等体積の試料と水の質量の比(比重)を指します。水の密度はほぼ1g/cm3ですので、密度と比重は近い値になります。密度・比重の測定法には4種類あります。

1つ目は比重瓶による測定です。比重瓶(ピクノメーター)は栓に細管と標線がある瓶で、内部の体積が正確に決められているものです。比重瓶の重さをあらかじめ測定した後、試料を比重瓶に入れます。規定温度よりやや低い温度にし、試料の体積をやや小さくした状態で栓をします。その後、比重瓶を水浴で規定温度まで温めます。温めた後に標線に液面を合わせ、瓶全体の重さを測定します。体積と試料の重さから、密度を計算します。比重を測定する場合には、同様の手順で水の密度を求めます。

2つ目はシュプリンゲル・オストワルドピクノメーターと呼ばれる器具を用いる方法です。シュプリンゲル・オストワルドピクノメーターはガラス管を曲げた形をしており、吊るすことで全体の重さを測定します。シュプリンゲル・オストワルドピクノメーターでの密度測定は、比重瓶とほぼ同じです。あらかじめ全体の重さを測定しておき、試料を入れ、温度を合わせ、液面を標線に合わせます。その後、全体の重さを再び測定することで、液体の体積あたりの質量を求めます。

浮きばかりは、エタノールなどの有機溶媒の比重測定に用いられるもので、試料液中に浮かべて用いる密度計です。浮きばかりには指標が刻んであり、浮かべたときの液面の指標を読むことで比重を測定します。

振動式密度計は上記のものとは原理が異なり、単位体積あたりの質量が大きくなると、揺すったときの振幅の大きさが変わることを利用して密度を測定する方法です。試料は管状の試料導入部に満たします。試料を満たした管を電気的に振動させ、振動の周期を測定します。重い液(密度の高い液)ほど、振動させるのに必要なエネルギーが大きくなります。この原理を用いて、振動の周期を測定し、密度を計算します。密度の計算には標準が必要ですが、一般的には水と乾燥大気を標準として測定することが多いようです。