日本薬局方-一般試験法 1.11 ヒ素試験法

ヒ素は強い毒性と発がん性を持つ物質です。ヒ素酸化物の一部は医薬品としても利用されますが、基本的には人体への取り込みを避けるべき物質です。医薬品に混入するヒ素の量の限度試験がヒ素試験法です。ヒ素はヒ化水素として収集し、塩化銀錯体の呈色により量を調べます。

試験液の調整法は5つあり、他の化学的試験法の試験液調製と同様に、番号の大きいものほど溶けにくい試料に対応しています。ヒ素試験法には試液としてヒ化水素吸収液とヒ素標準液を用います。ヒ化水素吸収液はヒ化水素を吸収し、銀錯体の赤色呈色を示すものです。ヒ素標準液は標準原液を作成し、それを薄めて用います。ただし、毒性などの理由により調製が難しいため、JCSS登録業者から標準液を買うことが普通であると思われます。

ヒ化水素の収集には、ヒ素の発生を起こす瓶をからガラス管をつないだガラス装置が用いられます。発生瓶では塩酸、ヨウ化カリウム、スズ、亜鉛を加えてヒ化水素を発生させます。発生したヒ化水素は上記のヒ化水素吸収液に吸収させます。吸収後の液の色を、標準液で同様の試験を実施したものと比較して、試料液に規定量を超えないヒ素が含まれることを確認します。