日本薬局方-一般試験法 2.60 融点測定法

融点は、固体と液体の相変異の温度のことです。融点では、固体と液体は平衡状態にあります。融点は物質固有の値を取り、物質の同定や純度の指標となります。日本薬局方では、融点の定義として固体を加熱し、固体がすべて液体になる融け終わりの温度を指すとしています。

融点の測定法は3種類あります。第1法は純度が高く、粉末に調整できる試料を対象とします。試料は微粉末とし、あらかじめシリカゲルで24時間乾燥します。試料は毛細管に入れ、層厚が2.5~3.5mmとなるようにします。試料を詰めた毛細管を浴液に漬け、1分間に3℃加熱します。予想融点より5℃低い温度まで温まったら、温度を1分間に1℃上げるように加熱します。固体がすべて液体に変化した時点の温度を融点とします。

第2法は水に不溶で、粉末にするのが難しい試料を対象とします。第2法は第1法とほぼ同じですが、試料を一度融かし、毛細管に充填するところが異なります。充填した試料は一度冷やし固め、第1法と同じ方法で融点を測定します。

第3法はワセリン類に適用するものです。試料を90-92℃で融かし、融点の8-10℃上まで冷まします。冷ました液体の試料に冷やした温度計を漬け、試料を温度計に付着させます。この温度計を試験管内で水浴し、融けた試料の最初の一滴が液体として落ちる温度を融点とします。