日本薬局方-一般試験法 2.55 ビタミンA定量法

ビタミンAとは、レチノールのことを指します。レチノールは水に不溶なビタミンの一つです。レチノールは非常に酸化しやすく、光・乾燥・高温条件下で不安定な物質です。生体内では、皮膚細胞の分化、目での光受容において役割を持ちます。

ビタミンAを含む製剤は限られていて、主にビタミンAの摂取を目的とするものが多いようです(レチノール酢酸エステル、レチノールパルミチン酸エステル、ビタミンA油、肝油)。ビタミンAの定量法は2種類あり、1つは合成エステル型ビタミンAの定量法(前の2つに対応)、もう一つは幾何異性体を含む、天然ビタミンAの定量法(後ろ2つに対応)です。

合成エステル型ビタミンAの定量法には、吸光光度法を用いる方法、液体クロマトグラフィーを用いる方法の2つがあります。吸光光度法を用いる方法では、ビタミンAを2-プロパノールに溶かし、220~400nmの吸収スペクトルを測定します。ビタミンAは326nm付近に吸収極大を持ちます。この326nmの吸光度からビタミンAの量を計算します。液体クロマトグラフィーを用いる方法では、レチノールの標準品との比較で試料中のビタミンAの量を計算します。操作方法については医薬品各条に記載されているようです。おそらく、添加物等により最適な方法が異なるため、一般化できないのであると思われます。

第2法は試料からアルコール型レチノールを単離し、吸光光度法で測定する方法です。方法はとても複雑ですが、手順の殆どはビタミンAの抽出と夾雑物の除去の過程のようです。最終的には吸光光度法で、合成エステル型ビタミンAと同じような測定方法で調べます。