日本薬局方-一般試験法 2.59 有機体炭素試験法

有機体炭素試験法とは、水溶液中の有機炭素に含まれる炭素量を測定する方法です。一般的に、水中・水溶液中には有機体の炭素と無機炭素(CO2など)が存在します。有機体の炭素のみを測定するためには、全部の炭素量を測定した後、無機炭素を別途測定し、差し引きする必要があります。有機体の炭素はそのまま測定することはできないため、分解し、CO2の形で測定します。

測定の装置としてTotal organic carbon(TOC)測定器を用います。試料はマイクロシリンジで注入し、加熱、もしくは化学的に有機炭素を分解し、CO2を生成します。CO2の分離後、赤外線ガス分析装置でCO2量を測定します。

有機炭素の分解には乾式加熱法と湿式分解法があります。前者は加熱・酸化によりCO2を発生させる方法、後者は試薬を入れ、UVで酸化させる方法です。いずれにしてもCO2が生じます。CO2の測定法は2つあり、1つは赤外線ガス分析法、もう一つは電気伝導率測定法です。CO2は赤外線を吸収するため、CO2を含むガスの赤外線吸収を測定することでCO2濃度を特定することができます。CO2は水に溶け、炭酸イオンとなります。炭酸イオンにより水溶液の電気伝導率は上がり、抵抗は下がります。この変化を測定することでもCO2濃度を計算することができます。

標準液として、フタル酸水素カリウム標準液を利用します。測定器の使用前に標準液で校正します。無機炭素の補正には2つの方法があります。1つは総炭素量と無機炭素を別に測定した後、総炭素量から無機炭素量を差し引きする方法です。もう一つはCO2を取り除くためのガスを吹き込む方法です。