日本薬局方-一般試験法 1.13 油脂試験法

油脂試験法は、医薬品やその原料に含まれる油脂について、融点、凝固点、比重、酸価、けん化価などを測定するものです。油脂試験法の対象となるのは、脂肪、脂肪油、ろう、脂肪酸高級アルコールなどです。

油脂はその融点によって、常温で固体、液体、混濁した液体などの形で存在します。固体と混濁した液体は加熱により澄明な液体とし、試料として用います。

油脂の融点、凝固点、比重の測定はそれぞれ日局記載の方法(<2.60><2.42><2.56>)にしたがいます。凝固点測定法で脂肪酸を測定する場合には、(おそらく脂肪を脂肪酸グリセリンに分解するため)やや複雑な手順となります。固体の比重の測定には比重瓶を用い、固体の間隙を水で満たして測定します。

酸価は、油脂の酸性の度合いのことで、1gの油脂を中和するのに必要な水酸化カリウム量で示します。油脂を有機溶媒に溶かした後にフェノールフタレインを指示薬として水酸化カリウムで滴定して調べます。けん化とは、脂肪酸エステルに塩基を加えて塩とアルコールに加水分解することを指します。けん化価は加水分解に必要な水酸化カリウムの量のことです。油脂と水酸化カリウムを混ぜて加熱することで加水分解を引き起こし、残分の水酸化カリウムを塩酸で滴定します。エステル価はけん化価と酸価の差のことで、カルボン酸エステルの数を反映します。

水酸基価は水酸基(OH、ヒドロキシ基)の数を水酸化カリウムの量で評価するものです。油脂をアセチル化し、アセチル化による酸性を中和するのに必要な水酸化カリウムを滴定で求めます。不けん化価は、けん化されない混入脂肪酸の量を測定する方法です。油脂をけん化し、エーテルに溶ける成分を取り、水酸化カリウムで滴定する手順で測定します。ヨウ素価は、油脂と結合するハロゲンの量をヨウ素に換算したものです。試料とヨウ化カリウムを反応させ、遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウムで滴定することで求めます。