ICH E11 小児使用が想定される医薬品の臨床研究 2

ICH E11は小児使用が想定される医薬品の臨床研究についてのガイドラインです。2では研究のタイプと年齢層により考慮されるべきことについてまとめています。

小児使用が想定される医薬品での研究のタイプは、E4(用量応答性研究)、E5(海外臨床データの外挿)、E6(GCP)、E10(対照群の選択法)の記載に従うとされています。
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海外臨床データの外挿は遺伝的特性や食文化などの特性(民族的性質)の影響を受けます。成人と同様の効能、疾患であれば成人のデータが外挿可能であるとされていますが、小児での動態学・安全性研究を必要とします。血中濃度と薬理応答が相関しない場合には動態だけでなく、薬力学的研究を行うこととされています。局所使用製剤(貼付剤など)、成人と効果が異なる場合には小児での検証を必要とします。

薬物動態研究は処方開発・用量決定のために必要となります。処方開発時は通常成人での検証を行い、用量決定のための研究は治療対象疾患の小児で実施します。成人での用量と血中濃度に直線性があれば単回投与、なければ多回投与を含めた検証となります。用量は体重当たりの投与量として設定し、なるべく採取血液量を少なくするようにします。

効能検証はE6、E10に加えE9(臨床統計)に従うとされています。年齢層に応じたエンドポイント・解析群を設定し、年齢ごとにエンドポイントの測定法を最適化した上で検証を行います。慢性疾患では疾患の期間や小児の成長段階による影響を考慮する必要があります(治療中の成長の影響を受けるためだと思われます)。新生児は小児と大きく異なるため、通常外挿による予測は難しいとされています。
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安全性研究はE6とE2(安全性管理)に従うとされています。年齢層に応じた臨床結果が必要となります。意図しない暴露の情報が安全性上重要となりうるとされています。成長・発生に関わるAEは成人とは大きく異なり、発生に関するものでは長期の影響を調査する必要があります。
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通常、承認時における小児臨床実績は限られているため、長期のフォローアップ研究が重要となります。発生・薬理を考慮した層別化を行い、長期研究での年齢カテゴリの変化などを考慮に入れた統計計画を必要とします。年齢の層別化では、一般的に未熟児、新生児(生後27日まで)、乳幼児(23ヶ月まで)、小児(11歳まで)、青年期(12-18歳)で層別化するようです。未熟児での研究はその小児とは全く異なる性質のため困難であり、専門家による慎重な計画立案が必須となります。新生児は未熟児と類似した性質を持ち、特に中枢神経系に有効成分が到達しやすいこと、排出能力が低いことに注意を払う必要があります。乳幼児では経口吸収しやすくなり、排出の成長も起きます。1-2歳では排出率が成人より高くなるとされています。小児でも体重当たりの排出率が高くなります。小児では成長・発生・中枢神経系の発達等への影響検証が重要となります。成長の指標として、骨成長・体重・学校での状態などを使用可能であるとされています。青年期では、性的成熟がおきるため、出産脳の検証などが重要となります。