ICH E8 臨床研究における一般的事象 2

ICH E8は臨床研究における一般的事項に関するガイドラインです。2では開発における方法論のうち、第2相の臨床試験から、各種臨床研究において考慮すべきことについてまとめています。

第2相臨床研究(Phase II)では、治療的探索研究が主な内容となります。一般的に初期は治療前から投与後にかけての変化を調べ、後期には対照ありの研究として実施することが多いようです。比較的同質の被験者集団を用いて実施し、第3相臨床試験に必要な情報(エンドポイントや用量、投与スケジュールなど)を決定するのが目的となります。第3相臨床試験では、治療的確証研究が主な内容となります。医薬品の承認申請に用いる安全性と効能の確かさを示すと共に、用量応答性や病状・患者群による応答性の違い、薬物相互作用の研究も第3相で実施されるようです。長期投与の検証には、第2相から引き続き投与を続け検証することもあるようです。第4相臨床研究は、承認後に実施される、治療的使用時の研究を指します。第4相では医薬品の使用の最適化を目的とした、薬物間相互作用、用量応答性、安全性等の研究が実施されます。承認後には、承認を受けた適用以外への症状への適用(適用追加)、用法の追加、新投与経路の追加を目的とした研究も実施されます。用量、用法を変える場合、複合剤を検討する場合にはヒトでの薬理学研究が必要であるとされています。

薬物代謝の研究は、薬物動態の研究の一部として実施します。活性のある主要な代謝物に関しては特定し、動態を調べます。薬物間相互作用の研究は、非臨床等での代謝物プロファイルから相互作用の可能性が疑われる場合に実施します。医薬品の同時投与では、一方の薬剤が他方の薬剤の代謝や分解に影響を与えることが多いため、頻繁に同時処方されることが予測されるような場合には特に検証を必要とします。特殊集団(併発疾患を保つ場合など)では、特別なリスクや便益がある場合があります。特に腎・肝機能障害の患者では排出・分解のプロセスが異なるため、動態研究を実施することで高齢者等での動態予測を行うことができます。妊婦では通常臨床研究を実施せず、妊婦に投与が必要とされる医薬品では安全性に特別な配慮が必要となります。授乳期には乳中に排出される代謝物特定が重要となります。小児医療用医薬品では開発初期から小児での安全性等の検討が必要です。

臨床研究では、目的、調べる性質、検証事項をあらかじめ明確に計画書に記載します。研究デザインは、被験者の選択方法、対照の選択、統計的に適切な被験者数の設定、研究の評価項目、バイアスの低減を考慮して構築します。臨床研究はGCPやE7などのガイドライン、計画書に従い行い、解析方法もあらかじめ計画書に記載した通りに行います。