ICH S11 小児治療用医薬品の非臨床試験 5

ICH S11は小児治療用医薬品の非臨床試験についてのガイドラインです。5ではエンドポイントに対する動物の割当、小児専用・優先の開発についてまとめています。

エンドポイントに対する動物の割付においては、JASでの動物使用を最小化するための最適化が必要です。すべてのエンドポイントを理解した上で実験系を効率化し、割付を設定することで動物使用を低減させます。離乳前の動物では、交絡因子(育児、成長時のサイズ等)を減らすデザインを採用します。処置ごとに巣箱を分けることで、母獣による世話の影響や処理間での競争などの影響を取り除けるとされています。離乳後動物においても墓獣による世話が交絡因子となることがあります。死亡の検証研究、多回投与研究は、それぞれ10匹/性別で、両方の性別の動物を用いて実施します。エンドポイントを同時に評価可能であれば、まとめることで動物仕様を減らすことができます。

小児優先、専用の製剤であっても、検証は健康成人から開始するとされています。非臨床研究を行い、その結果を持って健康成人での初回投与のデザインを決定します。臨床の対象として小児を健康成人より先に検証対象とする場合には、げっ歯類と非げっ歯類でのJASでの安全性検証とともに、非臨床安全性研究、遺伝毒性研究の結果を必要とするようです。長期間使用し、慢性的な毒性が生じる可能性がある場合には、慢性毒性の検証を行います。げっ歯類と非げっ歯類での検証を行い、片方は投与を予定している臨床での年齢に合わせたものとします。成獣での慢性毒性研究とJASを組み合わせるような形でも良いようです。必要であれば生殖毒性、発がん性の検証も行うとされています。離乳後のJASでは10-12ヶ月の動物を使用するとされています(どの動物かよくわからないので、指定の記載があるのかもしれません)。離乳前JASでは多くの母獣が必要となるため、離乳前JASでの検証には正当化が必要です。デザイン上の期待値(エンドポイントの値などを指す?)は幅をもたせ、JASでの検証の代わりにin vitroの系が使用可能かどうか検討します。