ICH E6 GCP 1

ICH E6はGCPに関するガイドラインです。1では概要とIRB/IEC(治験審査委員会、治験倫理委員会)についてまとめています。ガイドラインリスク管理・電子的手法などの発展的な方法を含めたヘルシンキ宣言に従った国際的な治験の基準(Good Clinical Practice)を示すとされています。記載の内容はE2A、E3、E7、E8、E9、E11などと関連しています。日本のGCPに記載の内容とほぼ同じですが、部分的に表現等が異なる形になっています。
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基本事項は2章に記載されています。ほぼ日本のGCPと同様に、臨床研究がヘルシンキ宣言、GCP、規制要件に従うこと、リスク-便益評価し、便益が十分に上回ること、被験者の健康と安全、権利を最重要として実施すること、非臨床研究・臨床研究の結果から計画が適切にサポートされていること、IRB/IECによる計画書の承認が必要なこと、医師の責任で被験者の治療・診断を実施すること、治験に関わる者に十分な知識、訓練、経験があること、インフォームドコンセントを十分に行うこと等が記載されています。

IRB/IECの責任として、患者の安全、権利、健康を保護し、社会的弱者を保護するとされています。IRB/IECは治験に関する各種書類を査読し、意見を述べ、承認する責任を持ちます。IRB/IECは治験を行うもの(治験責任医師)の実施の資格を検証し、最低でも1年おきに被験者が被るリスクについて評価を行います。治験が被験者の利益を脅かす可能性を持つ場合には、必要な情報を治験責任医師等から求め、非治療的な治験計画においては計画を倫理・規制面から評価します。被験者の同意が困難な計画の場合(被験者が直接説明を聞き、同意を行うことができない状態にある場合などを指すと思われます)には倫理・規制面からの問題点を治験責任医師に示します。支払と補償の評価等もIRB/IECの責任に含まれます。

IRB/IECは適切な専門的人員、人数(最低5人)で構成される必要があり、メンバーには非科学領域、治験実施施設から独立の者を含める必要があり、スポンサー(治験を依頼するもの)から独立のものだけが審査に関わることができます。メンバーのリストは維持管理を必要とします。委員会の運営は文書に制定した手順に従って行い、会議の記録を残します。議決は手順に示された必要人数の参加を必要とします。評価・議論に加わったもののみが議決権を持ち、治験責任医師は審議に参加できません。必要であれば、委員会の構成員以外の専門家を承知することもできます。

IRB/IECの手順として、委員会のメンバーのリストと権限、会議のスケジュールや周知方法、実施方法、治験の開始と継続に関する評価の手順、継続評価の頻度、評価や意見の提出の方法を文書として定めます。承認なしに治験ができない旨と、緊急事態を除き計画の変更は委員会の承認を必要とする旨を定めておきます。治験責任医師からの報告の徴収の手順や委員会からの文書の通達の手順もあらかじめ定める必要があります。

IRB/IECでの議事等、治験に関連するすべての記録は治験完了後3年間は保管します。記録は治験責任医師、スポンサー、規制当局の求めに応じて提出することがあります。