ICH E5 海外臨床データの受け入れに関する民族的因子について

ICH E5は外国で実施した臨床結果を用いて承認申請する場合における、民族的要因について考慮すべきことについてのガイドラインです。医薬品の効能・安全性に関わる民族的要因として、遺伝的・生理的・文化的・環境的な要因があるとされています。このような民族的要因を考慮に入れた上で、不必要な臨床研究の重複を避け、海外臨床データに追加研究を実施することで速やかに医薬品の承認を行い、医薬品を患者に届けることを目的としています。

地域の規制当局に海外臨床データで承認申請を行うためには、その地域で要求されるデータに対する完全性が重要となります。完全な臨床研究パッケージが揃っており、海外臨床データの外挿により対応できることを申請の事前に検証します。データが完全なものではない場合には、追加研究の実施が必要となります。追加研究としては特定の集団を対照としたもの、比較対象を変更したもの、相互作用の研究が挙げられています。民族的要因の影響が及ぶ因子として、薬物動態、薬力学、用量応答性、感受性などがあり、これらを追加研究で検証していくこととなります。追加研究は海外臨床データと承認申請用パッケージの橋渡しとして行います。橋渡しとして、実施の理由、効能に関する内容、安全性に関する内容の研究パッケージを規制当局へ提供することになります。

グローバル開発を行う場合には、開発初期に民族的要因の影響を調べる、規制当局へ事前相談するなどの民族的要因に配慮した開発戦略を取る必要があります。