ICH E2D 承認後安全性情報管理: 迅速報告の定義の標準方法 1

ICH E2は安全性管理に関するガイドラインです。E2Dは製造販売承認後の迅速報告についてのガイドラインとなっています。基本的には開発時の迅速報告(E2A)と同様の内容となっています。
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E2Dにおける予期しない有害事象(ADR)は添付文書記載されていないものを指すようです。医療関係者や消費者などからの連絡から得られた情報を報告することを自発的な報告(Spontaneous Reports)と呼ぶとされています。自発的な報告は研究開発や組織的なデータ収集で得られたもの以外の情報となります。消費者から得られた情報では、医療関係者による関連性の確認を必要とします。承認取得したものは、科学文献をサーベイして、ADRの報告を確認する必要があります。最低2週間おきに、個々の患者ごとの情報を収集します。インターネットを使用したADRの探索も行いますが、患者や報告者が実際に存在することを確認する必要があります。その他メディア等からの情報に関しても、情報確認が重要となります。承認取得者自身が調べた結果から得られた情報を要求による情報(Solicited Sources)と呼びます。承認取得者の研究からのADRにおいては、盲検などの扱いはE2Aに従います。製造販売契約により、1製剤を2企業が販売するような場合には、安全性情報の交換について、安全性情報の報告責任などを契約に盛り込み、重複報告を避ける仕組みを構築しておきます。報告の義務は承認取得者にあるため、安全性情報報告の遅れなどの責任は承認取得者が取る形になります。海外規制当局から安全性情報が得られる場合もあります。このような場合においても予期しない重大なADRでは報告の対象となります。

報告の対象となるのは、予期しない重大なADRです。予測可能な重大なADRを対象とするかどうかは、地域の規制当局に従います。基本的には重大ではないADRは迅速報告の対象とはならないとされています。ADRが見つかった場合には、医療関係者・承認取得者による薬剤と有害事象の因果関係の確認が必要となります。その他のリスク-便益評価に関係しうる情報は速やかに報告を行います。効能がない・小さい等の情報は定期的安全性報告(PSUR: Periodic Safety Update Report)でおこないます。ワクチンや致命的な症状への処置における効能に関する情報は迅速報告の対象となります。過剰処方によるADRは通常ADRとしては報告しないとされています。

報告には、報告者の情報、患者の情報、副作用の情報、製品についての情報を含めます。報告は情報入手後15日以内に行います。報告のタイムフレームは地域の規制当局の指示に従います。