ICH M7 変異性不純物 3

ICH M7は変異性(変異原性)不純物に関するガイドラインです。化学合成医薬品に合成途中に混入しうる発がん性リスクのある不純物について考慮すべきことについて記載されています。3では、変異原性不純物の制御戦略や申請についてまとめています。

変異原性不純物の制御では、原料・施設や製造機器・製造工程デザイン・工程検査や工程パラメータ・出荷試験などを管理し、適切な許容値を定めることで行います。工程の情報を集め、理解することにより制御の必要がなくなるようにしていくことになります。単なる科学的な理解だけではなく、工程の分析情報により適切に説明することが求められます。スケールに依存した変異原性不純物の発生が起こりうるのかどうか等についても検証が必要です。

工程情報から制御の必要が減ったとしても、定期的な試験(Periodic Verification Testing、Q6A)は必要となります。許容値以下に維持することが難しい場合にはすべてのバッチでの試験が必要となります。
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製造工程と同様に、製造・包装での分解産物についても同様の検証が必要です。長期試験や加速試験で十分に検証し、製品の安定性が低い場合には処方設計での対処を検討します。

ICH Q10のライフサイクルマネジメント(ライフサイクルマネジメント自体はQ12)を考慮し、制御のモニタリング、変更管理やその評価、定期点検、統計的監視を継続することで、製品のライフサイクルを通じた安定した変異原性不純物の管理を行います。
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開発中に検証した変異原性不純物やその構造については報告を必要とします。14日以下の第1相ではクラス1と2、14日以上ならクラス1~3のリスクを示す必要があります。第2相、第3相の臨床試験ではQSARを含めたリスクの説明を必要とします。CTDにはクラス4や5を含めた検証結果、細菌での変異原性検証結果、規格設定の根拠の説明を行います。