ICH Q6A 規格: 新規有効成分・製剤の試験方法と許容範囲 化学製剤 1

ICH Q6Aは化学合成製剤の規格(試験方法と許容範囲のこと)に関するガイドラインです。規格は医薬品の使用に問題が起こらないようにするためにGMPなどとともに品質を保証するためのもので、新規承認申請時に設定理由を説明し、設定します。ガイドラインの対象は製品出荷から使用期限までの製品規格が対象となります。Q6Aは新規の化学合成有効成分・製剤の承認申請を対象とし、臨床試験での規格は対象外とします。低分子ペプチド以外の生物学的製剤の規格はQ6Bで対応しています。

規格試験には全製品に実施する試験の他に、定期的試験(Periodic testing)と抜き取り試験(Skip testing)があります。採用には共に十分な理由付けが必要となります。新規承認申請時には蓄積された製造データがほぼ無いため、採用されることはありません。製造データの蓄積後に変更として採用されるもののようです。

出荷時と有効期限時の規格では、出荷時をより厳しい基準で評価することが一般的です(有効期限内での品質変化に余裕を持たせるため)。JP、USPではこのような規格の差は社内規格として実施するようになっています。EPでは出荷時の規格と有効期限時の規格を別とすることになっています。

製造途中の製品品質の検査(工程検査)は工程パラメータの調整のために実施されます。工程検査のうち、製品の出荷規格と同等のものや、出荷規格より厳しい設定になるものに関しては分析法バリデーションを行い、規格として設定します。

設計・開発時の結果を基に規格は設定します。規格設置時に十分な理由があれば、試験の代替や省略を提案することも可能であるようです。申請時に規格設定のためのデータが十分に得られていない場合には、効能・副作用に注目した規格設定とし、申請後のデータ蓄積を基に規格を再設定します。

製造時のパラメータ(製造後完全滅菌時の滅菌条件など)により規格試験の代替とすることをパラメトリックリリースと呼びます。パラメトリックリリースの採用は現地の規制当局の許可、パラメータのバリデーション、バリデート状態の維持(再バリデーションを指すと思われます)の実施を必要とします。

試験では規格試験以外の方法を用いることができる場合もありますが、その場合の方法は規格試験と同等、もしくはより優れていることを条件とします。試験を代替した場合においても有効期限までは採用した規格を満たす必要があります。

規格試験には局方記載の試験方法を引用・使用することが推奨されています。調和された局方試験・規格は3局地域すべてで有効です。

製剤の規格試験には、有効成分の品質試験を含みません。有効成分の品質は有効成分の規格により担保されているとするようです。試験には対照や標準が必要となります。有効成分や類縁物質・不純物の対照や標準の準備には通常の有効成分の品質規格だけでなく、追加の試験を必要とします。