ICH Q10 医薬品品質システム

ICH Q10は品質システムについてのガイドラインです。Q10にはQ9の内容とQ12の内容(ライフサイクルマネジメント)、さらに製品品質維持・向上における経営陣の責任について記載されています。

医薬品品質システムとは、GQPとGMPを補完するようなシステムで、Q8(製剤開発)、Q9(品質リスクマネジメント)、Q12(ライフサイクルマネジメント)を統括するようなシステムのモデルだと考えるとよさそうです。
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製品のライフサイクルは開発・技術移転・商業生産・終売の各段階からなります。この各段階において、医薬品の効能のために十分な品質を維持・管理し、継続的に品質を改善し続けることが品質システムの目的となります。Q10は大きく2つからなり、1つは品質システム、もう一つは品質システムに対する経営陣の責任です。

品質システムはリスクマネジメント、知識管理、品質マニュアル、品質モニタリングシステム、CAPAの5つが構成要素となっています。リスクマネジメントについてはQ9で対応しています。知識管理は医薬品の製造・品質等に関する知識を蓄積することで、製品品質の向上に活かすことを指します。品質マニュアルは組織(製造販売業者と言ってよさそうです)の品質マネジメントシステムを規定する文書で、主に品質に関する経営陣の役割について示したマニュアルになります。品質モニタリングシステムでは、照査と品質リスクマネジメントを用いて品質の向上を目指すようなシステムを指します。
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CAPAはCorrective Action(是正措置)とPreventive Action(予防措置)を合わせた改善の方法で、品質リスクマネジメントなどで得られた知識から危害の原因を究明し、手順の改善などを通じて品質の改善を目指すシステムです。

Q10では、品質に関しての経営陣の責任を規定しています。経営陣の責任の方針として、経営陣の品質に関するコミットメントを制定する必要があります。上級経営陣には品質方針を示し、品質目標を達成するための計画を策定し、品質システムの維持向上に必要な資源を適切に分配することが求められます。品質の維持向上のため、上級経営陣・経営陣ともに品質に関するレビュー(マネジメントレビュー)を実施することを規定します。これらの内容は品質マニュアルに記載し、実施することがQ10では求められます。