ICH Q6B 生物学的製剤の規格 1

ICH Q6Bは生物学的製剤の規格(試験方法と許容範囲のこと)に関するガイドラインです。ガイドラインの対象はタンパク質とポリペプチド、その誘導体となります。化学合成製剤についてはQ6Aのガイドラインで対応しています。
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規格設定の評価は規格の設定に必須となります。規格は化学合成製剤と同様に非臨床/臨床試験を含む開発情報を元に設定します。試験は対照標準と比較する形で行いますが、この対照標準物質は新規の生物学的製剤では無いことも多いため、適切な標準の確立も承認申請には必要となります。

製剤の規格では、物理化学学的特性を試験として設定します。物理化学的特性には製剤の構造や物理的な特性を含みます。生物学的製剤はその安定性や修飾のため、構造にばらつきが生じることがあります。ばらつきの影響については非臨床・臨床試験での検証が必要です。

生物学的な効果(生理活性)についての規格も必要です。生理活性の評価法は申請者が準備します。評価法には動物や培養細胞を使った方法、生化学的方法などがあります。試験では力価(Potency)と量(Quantity)を評価します。評価には内部・外部の対照を利用します。

有効成分が抗体やその誘導体の場合には抗体-抗原反応の検証が必要です。抗体の抗原への親和性、抗原結合部位の特定などを行います。ELISAやウエスタンブロットを試験方法として採用します。

生物学的製剤の純度は方法に依存する部分が多く、測定が困難であるようです。構造のばらつきは純度としては評価しません。出荷試験として適切な方法と許容範囲を決めておく必要はあります。不純物には細胞・培養液由来のものや、活性を持たない有効成分の立体構造変化物などを含みます。不純物は個々のものと、合計での規格設定が必要です。混入物には物質と細菌などを含みます。細菌等の混入は致命的な健康被害の可能性があるため、厳密な制御が必要となります。微生物等の混入に関してはQ5AQ5Dガイドラインを参照とした規格を設けます。

タンパク質量は物理科学的方法(クロマトグラフ電気泳動)で測定します。包装時には活性の変わりの指標とすることもあるようです。

対照標準は基本的には申請者が準備できるように規格設定します。公的(国際・国内)な標準を利用できれば、それを一次標準とします。試験に使用する標準(二次標準)は一次標準を利用して判定し、試験に利用します。不純物に対する標準も準備できるのが望ましいとされています。

分析法バリデーションに関してはQ2ガイドラインで説明されています。

工程管理(Process control)は開発や商用製造時のデータにしたがい設定します。原料・試薬・添加剤・包装等にも規格設定は必要となります。

試験のウチ、無菌試験・エンドトキシン・微生物限度試験などは局方試験として設定されています。局方に設定された試験はその方法にしたがい規格として盛り込みます。

化学合成製剤と同様に、出荷時の規格は有効期限時点での規格より厳しくすることが望ましいとされています。

量的な結果には統計解析を必要とします。解析方法については採用理由などを正当化し、詳細に記載する必要があります。規格設定についても正当化が承認申請には必要となります。