ICH Q12 ライフサイクルマネジメント (1)

ICH Q12はライフサイクルマネジメントに関するガイドラインです。主に承認後の変更管理について述べたものとなっています。変更承認申請を容易にし、規制当局の負担を減らすためのツールが紹介されています。

Q12のツールとして、承認後変更申請のカテゴリ化、Established Conditions(ECs)、Post-Approval Change Management Protocol(PACMP)、Product lifecycle management document(PLCM)、医薬品品質システム、規制当局の審査と監査、高頻度変更へのアプローチ、変更評価のための安定性試験があげられています。(1)はPACMPまでの説明となります。

承認後CMC(Chemistry, Manufacturing and Controls)変更のカテゴリ化とは、変更の重大性によって変更をカテゴリに分類し、規制当局での対応を変えることを指します。変更が軽微で品質への影響を無視できる場合には申請者の社内記録として変更を残し、中程度の影響が見込まれる場合には規制当局への変更後の連絡、大きな影響がある場合には規制当局に変更前に申請(事前変更承認申請)し、承認後に変更を実施する形となります。GMP省令の変更の管理は基本的にこのルールに則っています。
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Established Conditions(ECs)は、変更時に申請情報として記載が必要になる要素(製造パラメータや規格を指します)のことです。ECsは開発・製造・品質・リスクの情報から確立し、変更時にはECsに対するリスクアセスメントを必要とします。変更するパラメータがECsに含まれる場合には規制当局への連絡が必要となります。ECsの特定はパラメータと製品品質(パフォーマンス)を考慮し行います。試験方法にもECsを設定することもあるようです。

PACMP(Post-Approval Change Management Protocol、承認後変更管理実施計画書)は変更の内容についてあらかじめ計画書を作成し、計画書の内容を規制当局(日本ではPMDA)と合意した上で変更を実施し、変更承認を受けるものです。変更の予測性・透過性を高めることで申請後の審査期間を短縮し、要求される審査内容を満たした変更管理を実施することを目的としているようです。日本の承認事項一部変更申請(上の事前承認申請に当たります)では、申請前のデータ取得にも、申請後の審査にも長い時間がかかりますが、PACMPを利用することで審査期間の短縮を行うことができます。PACMP申請の条件として、CTDで医薬品製造販売の承認を取得した医薬品であること、ICH Q10(医薬品品質システム)を運用していること、PACMPの合意をPMDAに得ていることなどがあげられます。