ICH M7 変異性不純物 2

ICH M7は変異性(変異原性)不純物に関するガイドラインです。化学合成医薬品に合成途中に混入しうる発がん性リスクのある不純物について考慮すべきことについて記載されています。2では、検証する化合物や化合物のクラス分けについてまとめています。

有効成分と製剤の不純物の検証では、合成時の不純物と保管時の不純物についての検証が必要となります。特に新規医薬品では不純物の検証が必須となります。ICH Q3Aでの閾値以上の不純物として特定したものを同定し、その変異原性を調べます。合成原料や中間体にも変異原性不純物が含まれる可能性があります。同様に合成中に誘導される物質についても検証します。変異原性の評価はリスクベースで行います。同様に保管後の不純物についてもQ3BやQ1Bに従い検証します。保管時の不純物検証においては、有効成分などの分解経路を特定することが有用であるとされています。これらの合成時・保管時の不純物の検証は臨床開発の過程の一つであり、Q3A/Bに示されている閾値以下の不純物も特定が必要となります。変異原性の検証が必要となるものはClass1、2、5の物質となります。これら以外の不純物に関しては構造から変異原性を推定します。Class1/2/5の物質では細菌での変異原性、QASR法などで変異原性を調べます。クラス1~3の不純物ではリスクの性質を調べ、許容値(TTCベースで1.5μg/day)以下であることを確認します。不純物によってはそれ自体のリスクアセスメントを行い、許容値を定める場合もあるようです。既存データがあれば、NOEL(No Observed Effect Level)やPDE(Permissible Daily Exposure)での許容値の選択も可能とされています。いずれにおいても、累積での摂取量が発がん性においては重要な評価項目となるようです。