ICH Q5E 生物学的製剤の製造方法変更前後の同等性について

ICH Q5Eは生物学的製剤の製造方法変更前後の同等性についてのガイドラインです。承認申請後に製法変更を行う場合に、変更が品質に影響を及ぼさないこと(同等性)を示す方法について記載されています。ガイドラインの対象はタンパク質やポリペプチド製剤です。

製剤の製法変更は品質・安定性・効能に影響を与えうるものです。変更には品質・安定性・効能に影響がなく、製品として問題がないことを変更前に示す必要があります。同等性の検証は化学・生物学的分析で行い、必要であれば非臨床・臨床試験を実施します。製品試験・工程検査・バリデーション・安全性を検証し、変更前と変更後の品質が同等であれば変更が認められる形になります。

同等性検証の結果、同等性がある程度高いことが示されれば(当局から追加で情報を求められることはあると思いますが)、変更は可能です。変更による変化があり、安全性・効能に影響する可能性があるときには非臨床・臨床試験の必要性を検討します。変化が明らかに大きいときにはその製法に変更することはできません。

同等性検証では、複数の工程での検証を行います。変更の影響範囲により、検証方法は異なるようです。検証すべき項目として、物理化学・生物学的特性への影響、工程ごとの品質、安定性、製法の一貫性、変更の履歴、重要工程と工程パラメータ、工程検査と工程試験、非臨床/臨床試験などがあります。変更による変化を検出するために、最適な方法を選択します。1つの検証項目は2つ以上の試験により検証されることが望まれるようです。通常の品質試験で不十分であれば、別途新規試験の追加も検討が必要となります。検証の評価法はQ6B(生物学的製剤の規格に関するガイドライン)、つまり規格にしたがいます。変化が生じる場合には複数回の評価の実施が推奨されます。変更前後の品質を保つために、規格設定を見直すこともあるようです。

製造方法の変更は安定性に影響する場合もあります。タンパク質製剤ではその立体構造が活性に影響を与え、さらに立体構造は環境の影響を受けやすいものです。変更によるすぐに評価できないような品質の評価も安定性では検出することができます。

製造工程については変更時の品質を維持するための工程管理の設定、変更時のアセスメント実施などが必要です。変更後には工程の再評価・再バリデーションを行います。

開発段階での同等性評価は非臨床試験前の変更には必要ありません。臨床試験後には製造販売後のものと同等の検証が必要となります。