ICH Q6A 規格 新規有効成分・製剤の試験方法と許容範囲 化学製剤 2

ICH Q6Aは化学合成製剤の規格(試験方法と許容範囲のこと)に関するガイドラインです。1では概要、2では個別製剤に適用すべき試験についてまとめました。
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規格の定義は、このガイドラインでは試験・手法に関する文献と許容範囲のリストのことを指します。試験結果が許容範囲にあるとき、その試験の規格に適合(Conformance of specification)したとします。規格は承認申請者により提案され、規制当局による承認を受けます。規格には出荷試験とともに、工程検査・定期的な試験を含みます。規格の変更には規制当局による承認が必要となります。

規格の承認申請時には、その試験・許容範囲の設定に正当化するための理由が必要となります。局方での試験が設定されており、適しているのであれば局方試験を採用し、そうでなければ開発情報、臨床試験、安定性の結果を理由として正当化を行います。製造や分析では結果のばらつきが生じます。ばらつきによる規格適合性などについても説明が必要です。複数箇所での製造では各製造所での結果が有用となります。規格設定理由の試験結果、データなどはグラフや表などの形にまとめ、説明します。特にグラフを作成することが推奨されているようです。

新規有効成分に普遍的に適用されるべき試験は、性状(Description)、同定(Identification)、定量(Assay)、不純物(Impurities)です。この4つに加えて、剤形などに依存した試験を追加して行います。品質確認に有用で、実施を正当化できる試験があれば追加で試験を行うこともできます。

剤形によって適用する試験として、物理化学的特性(Physicochemical properties)、粒子径(Particle size)、結晶形(Polymorphic forms)、水分量(Water content)、無機不純物(Inorganic impurities)、微生物限度試験(Microbial limits)があげられています。

経口剤では上記の試験に加えて溶出性(Dissolution)、崩壊性(Disintegration)、硬度/摩損度(Hardness・Friability)、製剤均一性(Uniformity)などがあげられています。経口液剤では製剤均一性、pH、防腐剤・抗菌剤含量(Antimicrobial preservative content)、抗酸化剤含量(Antioxidant preservative content)、抽出物(Extractables)、アルコール量(Alcohol content)、溶出性(Dissolution)、粒子径、再分散性(Redispersibility)、レオロジー特性(Rheological properties、粘性)、再構成時間(Reconstitution time)などを試験設定します。非経口剤(注射剤を指すようです)では製剤均一性、pH、無菌試験(Sterility)、エンドトキシン/発熱性物質(Endotoxins/Pyrogens)、防腐剤含量、抗酸化剤含量、抽出物、投与システム試験(Functionality testing of delivery systems)、浸透圧(Osmolarity)、粒子径分布、再分散性、再構成時間が追加する試験としてあげられています。