ICH M10 生物学的分析法バリデーション 1

ICH M10は生物学的な分析方法に対するバリデーションについてのガイドラインです。バリデーションの種類や方法、報告について述べられています。ガイドラインの対象は開発・承認申請における臨床・非臨床データの基となる化学・生物学的製剤の分析に用いる方法とされており、現在はStep3です。2021年度中にはStep4への移行を予定しているようです。現在のガイドラインはドラフトで、Step4移行時に確定されることになると思われます。

ガイドラインの対象はTK/PK研究における有効成分濃度測定が対象となり、具体的な測定法としてはリガンド結合分析とクロマトグラフィーになります。クロマトグラフィーについては質量分析器を用いる場合を想定しているようです。分析法はGLP、GCP下で使用される方法で、バイオマーカー分析や免疫原性分析は対象ではないとされています。

分析法の開発時には、分析物、既存の分析法をよく調査しておき、抽出や検出を最適化するようデザインする必要があります。研究のバリデーションの方法として、フルバリデーションが挙げられています。フルバリデーションは分析の能力を評価し、信頼性を確保するために必須であるとされています。通常はPivotalの非臨床、臨床試験前に実施します。バリデーションに用いる分析のサンプルは研究で評価するものと同じとします。計画書やSOPは臨床試験以前に作成しておく必要があります。クロマトグラフィー、リガンド結合分析のバリデーションでは、選択性や精度、特異性などを評価します。

部分バリデーションは、フルバリデーション後の分析法を変更する場合に行い、変更の規模によって検証の規模も異なるものです。クロスバリデーションは異なる方法・異なるラボから得られるデータについて検証します。