ICH E17 多地域での臨床開発 1

ICH E17は多地域での臨床開発(MRCTs)についてのガイドラインです。ここでの多地域とは、地域の規制当局をまたぐような開発を指します。国際的な治験実施と各規制当局での承認申請を効率化し、科学的知識の蓄積を行うことがこのガイドラインの目的となっています。

MRCTsでは、地域の差異(規制の違い、民族や集団の違い)を開発初期に特定し、その差異を考慮した上で、すべての地域で治療効果を検証できる形で行います。地域の差異を調べた上で、よく似ている集団や地域は同一としてプールし(アメリカとカナダとメキシコを北アメリカとしてまとめるような場合を指します)、その上でサンプル数の決定を行います。治療効果は単一の主要分析で検証し、すべての地域で許容されるGCP管理下で実施します。規制の違いに対応するため、各地の規制当局との密な連絡を行うことが推奨されています。

MRCTsでは、希少疾患や特徴的集団でも被験者を募集することができ、大被験者群が必要な場合においても募集を行うことができます。MRCTsの結果から治療を複数の集団・地域に適用でき、外挿の頑強な証拠を提供することができます。外挿可能性を高めることで、臨床研究の重複を避けることもできます。

MRCTsのGCPとしては、ICH E6(GCP)に従うことが基本となります。モニタリング等の方法はあらかじめ統一し、文書として定めておきます。モニタリングは中央管理し、リスクベースで実施することが望ましいとされています。関係者間の情報共有を蜜に、正確に行うことも必要となります。

規制当局とは科学的面談を行うことが推奨されています。計画段階から相談を行い、相談結果に従い研究デザインを構築します。相談では計画書などの書類をあらかじめ準備しておくことが望ましいとされています。関連する規制当局間の議論も必要となります。