GMP省令-変更とバリデーション

変更とは製法・試験法など、承認書や手順書・マニュアルに記載されている手順を変更することを指します。製法・試験法については承認書に記載されています。変更を行う場合には、その製品を販売する製造販売業者に変更前に連絡をする必要があります。変更によっては、規制当局(PMDAや県薬務課)による審査が必要となります。変更後には必ずバリデーションを実施する必要があります。

医薬品の製造販売には、厚生労働大臣の承認が必要です。この承認を受けた際の承認内容を記載した書類を医薬品の製造販売承認書と呼びます。承認書には、厚生労働大臣の承認、製造業者と製造場所、出発物質(原薬の製造の場合)、原薬の製造元(医薬品の製造の場合)、原料の試験方法と規格、製造工程・工程パラメータと工程管理の規格、製品の試験方法・規格などが記載されています。

変更は承認後に実施する必要があります。まず、変更の起案者が変更を提案します。提案は変更の管理責任者に文章で報告され、変更の管理責任者は変更を評価し、承認します。変更の管理責任者はこの評価内容を製造管理者・製造販売業者に報告します。製造管理者の承認、製造販売業者の確認後に、変更は実施されます。

変更の管理責任者は変更を評価しますが、この評価によって変更時の対応は異なります。品質に影響を与えないような軽微な変更、品質に影響はあるが大きくない中程度の変更、品質に重大な影響がある大きな変更と、3段階で評価することが推奨されているようです。

軽微な変更の場合、変更を実施した後に変更を書面で規制当局に報告します。この報告を軽微変更届と呼びます。中程度以上の変更を行う場合には、承認書記載事項一部変更承認の申請を行います。申請について厚生労働大臣に承認を受けた後、変更を実施し、バリデーションを行います。より大きな変更では、承認書記載事項一部変更承認の申請に治験が求められることになります。

承認書記載事項一部変更承認(一変)とは、承認書に記載されている内容を変更する時に、厚生労働大臣によって行われる承認のことです。変更に関するデータをまとめ、バリデーションを実施した後、規制当局に一変承認申請を行います。申請に対して調査が行われ、問題点があれば照会事項として規制当局から問題点の指摘が行われます。この問題点の指摘に対して申請者(普通は製造販売業者の規制当局対応部門)は回答し、回答後に調査結果の報告が行われます。回答に問題がなければ、申請から約1年後に一変承認が行われ、変更後の承認書に沿った製品の販売が許可されます。

変更時には必ずバリデーションを実施する必要があります。予測的バリデーションと同様に、変更時の再バリデーションにおいても3ロット以上の商用スケールによる製造で、品質が安定していることを確認する必要があります。バリデーションですので、結果は文書として記録し、適切に承認・保管されないといけません。