GMP省令-変更の管理


変更の管理はGMP省令第14条に規定されています。変更とは、製造方法や試験方法など、製造や品質に関する手順を変えることを指します。GMPでは手順をあらかじめ作り、それに沿って製造を行うことが求められます。しかし、既存の手順では品質を十分保証できない場合などには、製造方法を変更することもあります。変更はまず評価され、品質部門による承認を受けます。承認後、変更を実施し、実施した内容について文書として記録し、保管します。変更には文書の改訂(手順が変わるので、手順書やマニュアルを書き換えないといけない)が発生します。さらに、変更した内容について周知するために、教育訓練を必要とします。

変更においても、バリデーションや出荷管理と同様に変更を管理する責任者(変更の管理責任者)が必要となります。変更の管理責任者は、① 変更が品質に与える影響を評価し、② 品質部門による承認を受け、③ 文書を保管し、④ 変更に際し必要な処理を取る 責任があります。変更は、変更の管理責任者の承認を変更前に受ける必要があります。

管理される変更には様々なものがあります。設備を導入、変更する場合、製造手順や製造工程を変える場合、製造管理・品質管理の方法を変える場合、あるいは法令が変更になった場合にそれにしたがい手順を変える場合などがあります。いずれの場合においても手順を変える必要があるので、手順を記載した文書も改訂します。

変更の手順は、まず起案者が変更を起案するところから始まります。変更の起案とは、何をどう変えたいか、変更の管理責任者に文書で伝えることを指します。変更の管理責任者は起案に対し、それが品質管理上問題なければ変更を承認します。承認後、起案者・起案部門が変更を行い、文書で記録します。変更後に品質管理部門、変更の管理責任者が変更を承認し、製造管理者、製造販売業者の品質管理部門に連絡します。

変更前に、変更の管理責任者はあらかじめ変更の評価方法や評価基準を文書で定めておく必要があります。変更の起案に対して、変更の管理責任者は変更の影響を手順にそって評価し、それによって取るべき対応や、変更の承認・却下を決定します。変更後には多くの場合変更時の再バリデーションが必要となります。変更に関する手順を改めるため、文書を改訂し、教育訓練を行い、その結果を文書で保管します。

変更は製造を行う上でほぼ必ず発生します。変更の管理はバリデーションと同様にGMPの重要な概念の一つです。変更とバリデーションの関係については別途資料を作成する予定です。