GMP省令-予測的バリデーション

予測的バリデーションは製品のプロセス・バリデーションの一つで、新製品、もしくは既存製品をその製造所で新たに製造し始めるときに行うものです。

予測的バリデーションでは、① 新しい製品を、安定した品質で製造可能であることを確認し、② 確認した製造・品質の内容、結果を文書として記録・保管し、③ 都道府県 薬務課の適合性調査でその結果を評価される ものです。適合性調査の結果、問題がなければ新製品の製造販売が承認されます。

新製品の開発・製造プロセスを製造所から見ると、5段階で実施されることになります。まず、研究・開発部門がその医薬品を開発します。医薬品の開発の結果は製造所に伝えられます。この段階のことを技術移転と呼びます。技術移転後、その製造所の設備でその新製品が製造可能であることを確かめるため、Process Qualification(PQ)が実施されます。PQの結果、問題がないことが確認できれば、バリデーションを実施します。予測的バリデーションはこのバリデーションのことを指します。その後、都道府県 薬務課の適合性調査を受けます。

技術移転とは、研究・開発部門から製造所に製造・分析の技術を伝えることを指します。一般的に2段階で進み、まず分析方法の技術移転が行われます。製造所では技術移転にしたがい、分析方法のバリデーション(分析法バリデーション)が行われます。分析法バリデーションの結果に問題がなければ、製造技術の移転が始まります。製造技術移転後、PQ、予測的バリデーションを行い、製造方法や製品品質に問題が起こらないことを確認します。

PQは、製造所で新製品が製造可能であるか確かめることを指します。設備の適格性評価のうちのPerformance Qualificationと、製造自体の製造・品質の評価を兼ねたようなものになります。各種の製造・品質・設備の状況を確認し、文書とします。文書にしたがい、予測的バリデーションが準備されます。

予測的バリデーションでは、3ロット以上の商用スケール(製造販売予定の製品の量のこと)での製造で、製造の状態、製品品質に問題がないことを確かめます。3ロットの製造で問題が発生しないこと、製造パラメータや品質にばらつきがないことを確認し、文書とします。文書はバリデーション責任者の承認を受けたのちに、品質部門で確認、保管されます。

適合性調査とは、その新製品がGMP省令にのっとって、安定した品質で製造が実施されていることを、規制当局(都道府県 薬務課やPMDA)が確認することを指します。適合性調査を受けるためには、まず製造所が適合性調査の実施依頼を規制当局に申請します。申請にしたがい、規制当局はその製造所、もしくは書面でバリデーション結果等を調査します。調査ののち、問題点等があれば照会という形で規制当局から指摘を受けます。製造所では照会に記載された指摘に対応し、その結果を報告します。この報告(回答)に問題がなければ、規制当局から調査結果がもたらされ、調査結果に問題がなければ、新製品の製造の許可がおります。