プレゼン作成のポリシー

医薬品業界のルール、手順、製造方法、試験法はどれも複雑です。例として、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の第一条を見てみましょう。
 
第1条
この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。
 
この文が法律文であることもありますが、ぱっと読んで分かるものではありません。法律文はその正確性を高めるために、必要な情報をすべて含んでいます。正確で完全な文には解釈の余地が少ないため、決まり事を決めるための文としては適しています。しかし、理解するための文としては長く、情報が多すぎます。
 
プレゼンテーションというのは、人が人に物事を説明するためのものです。したがって、聞いた人が理解しなければ、プレゼンテーションを行う意味がありません。正確で完全なものを提供しようとすると、情報量が多くなります。情報量の多いものは、短い時間で理解することができません。プレゼンテーションは普通、短い時間(20分ぐらい)で行われます。この短い時間に情報をたくさん詰め込んでしまえば、聞いた人はきっと理解できないでしょう。20分で薬機法を説明されてすべてを理解できるでしょうか?私にはできません。
 
プレゼンテーションの本質は、短時間で情報を伝えること。多くの場合、この本質を満たすためには、正確であること、完全であることを放棄せざるをえません。情報を圧縮し、短い文にまとめ、時に絵で説明する。このような情報の簡潔化によって、理解しやすいプレゼンテーションを作成することができます。一方で、情報の圧縮は、情報の損失を起こします。情報が圧縮するということは、情報の正確性を失うということでもあります。
 
このサイトでのプレゼンテーションについては、私は正確性よりわかりやすさを追求します。わかりやすさを取るということは、正確性を失うということです。正しい情報は文章にまかせて(法律文などはリンクを貼ります)、プレゼンテーションではできる限り情報を少なく、簡潔でわかりやすい表現を目指します。とは言っても、私の理解度や説明能力のなさのために、誰にでもわかるものではないかもしれませんが。
 
したがって、このサイトの利用では、まず ① 簡潔な概要をプレゼンテーションで理解する、② 少し複雑な概念をより詳細なプレゼンテーションで理解する、③ さらに正確な情報は法律文などの文章で理解する、という3段階を経て学習することをオススメいたします。このサイトで提供するのは①と②です。もちろん①だけをさらってもある程度の学習となり、②まで学べばより深いことがわかる構成にするつもりです。