ICH E7 高齢者集団に対する臨床研究

ICH E7は高齢者集団に対する臨床研究に関するガイドラインです。ガイドラインの対象は65歳以上の高齢者で、併発疾患を持っていたり、それに対する医薬品投与を行っている可能性が高いとされています。高齢者集団での臨床研究は第3相で実施します。高齢者での応答の解析のために、ランダムな年齢層を持つ集団では100人以上の結果を通常必要とします。高齢者のみを対象とした2/3相の臨床研究を実施して検証してもよいとされています。

高齢者集団では腎・肝機能、薬物相互作用が考慮されるため、医薬品の動態が若年層と異なることがあります。動態研究としてはFormalな、健康高齢者・高齢患者群を対象とした研究、若年層を含めた動態研究からデータを抜き取って解析する(PK screening)の2パターンがあります。後者ではっきりした結果が得られない場合には、Formalな研究を行います。腎・肝疾患の患者でのPK研究の実施も解析方法の一つとなります。

高齢者では効能・副作用・血中濃度の応答が若年層と異なりうるため、CNS領域の医薬品や2/3相研究で若年層とはっきりした差が見られた場合には高齢者を対象とした追加研究が必要となります。同様に高齢者はすでに医薬品を投与されている場合が多くなるため、薬物相互作用の検証も必要となります。検証が必要となる場合は治療濃度域が非常に狭い医薬品や複数の医薬品との同時投与が予想される場合になります。薬物相互作用では、血液凝固剤、肝代謝、P-450による代謝などにも注意が必要です。