ICH S9 抗ガン剤の非臨床研究 3

ICH S9は抗ガン剤の非臨床研究に関するガイドラインです。3では主に特殊剤形の抗ガン剤と代謝物の評価についてまとめています。

Conjugated Productsは医薬品と輸送担体が結合した製剤を指します(ADCと呼ばれる抗体-薬物複合体を含むのか、その他のドラッグデリバリーシステムのみを指しているのかは不明です)。輸送担体はタンパク質、脂質、糖などで構成されるため、輸送担体自体の安全性が重要となります。輸送担体がある場合、ない場合での毒性を評価します。脂質二重膜の小胞(リポソーム)に有効成分が含まれる製剤(Liposomal Products)では脂質二重膜を構成する脂質の安全性評価を必要とします。製剤、脂質のみ、有効成分のみの独立の安全性を確立し、動態についても検証します。

代謝物に関しては、ヒトでの代謝を非臨床研究で評価することができない場合(分解酵素が動物にはない場合など)では、進行したガン患者を対象とする場合には独立に評価を必要としないようです。不純物に関してはQ3A、Q3Bに従い検証します。抗ガン剤では不純物が規制量を超えても良いとされていますが、超える場合には対象の患者や治療中の状況などでの正当化が必要となります。遺伝毒性がある場合には生存率のリスクと比較し、評価します。ヒト・動物で代謝物として存在する不純物に関しては評価を必要とします。