ICH S7A 安全性薬理学研究 2

ICH S7Aは安全性薬理学(Safety Pharmacology)研究に関するガイドラインです。2では代謝物の評価、コアバッテリーなどについてまとめています。

すべての薬効成分と代謝物について、安全性薬理学における評価を行います。主要な代謝物についての評価は動物実験で、ヒトのみで生じる代謝物ではその代謝物を用いた動物実験で検証します。代謝物に効能がある場合にはその効能について評価を行います。

同位体の混合物(おそらく光学異性体などの混合物を指すと思われます)では、それぞれの同位体ごとに評価を行います。特に製剤のPD/PKが有効成分のみの場合と異なるときには独立に評価するとされています。

一連の安全性薬理学研究として、生命活動に関する安全性(コアバッテリー)を検証します。コアバッテリーには心血管系、呼吸系、中枢神経系への影響を調べる研究が含まれます。これらのいずれかの研究を実施しないこととする場合には説明が必要となります。中枢神経系の評価として運動・ふるまい・協調運動・間隔・運動反射・体温調整等、心血管系の評価として血圧・心拍数・心電図、呼吸系の評価として呼吸速度・換気量・ヘモグロビンの酸素飽和度を検証します。

安全性薬理学の一連の研究において副作用の可能性が見つかった場合には、追加のフォローアップ研究を行います。フォローアップ研究では中枢神経系、心血管系、呼吸系、腎機能、自律神経系、消化などを対象とした研究を行います。

部分暴露のみの製剤、末期がんに適用する毒性のある有効成分、受容体特異性が非常に高いタンパク製剤などでは安全性薬理学研究は不要であるとされています。安全性薬理学研究はヒトでの初回投与前にコアバッテリーの検証、副作用の疑いに対するフォローアップは臨床開発時に実施し、承認申請前に一連の研究を完了させるとされています。