ICH S9 抗ガン剤の非臨床研究 2

ICH S9は抗ガン剤の非臨床研究に関するガイドラインです。2では主に非臨床研究のデザインについてまとめています。

薬理効果と安全性を特定するための用量を初回投与用量として選択します。通常は体表面積比から動物・ヒト間の用量の比較を行いますが、体重・AUCでの比較も可能であるとされています。生物学的製剤では応答が予想される最小用量(MABEL)を考慮した用量を選択します。臨床では非臨床の最大用量を用いず、毒性が高い製剤では徐々に用量を増加させます。非臨床での投与スケジュールは様々なものを試し、半減期・毒性・受容体親和性などから投与期間、スケジュールを選択します。投与後の回復過程の検証も非臨床で実施するようです。

抗ガン剤では第1相、第1相を担保するための非臨床研究の結果を持って、第2相の臨床研究に移行可能であるとされています。3ヶ月の投与スケジュールでの非臨床研究が第3相までに完了していることが必要になるようです。承認申請にもこの3ヶ月の非臨床研究の内容を用いるようです。投与スケジュールを途中で変更するような場合には正当化するための説明が必要となります。

複数の薬剤の組み合わせによる毒性研究では、組み合わせた処方の前に個々の薬剤についての毒性を十分に検証しておきます。処方上組み合わせが必要であれば根拠データを臨床試験前に集めるようです。進行したガンを対象とする医薬品では組み合わせの毒性研究は必要ないと記載されています。組み合わせ処方の便益が毒性を上回ることを説明する必要があるようです。

小児ガン患者を対象とする臨床研究では、大人に使用する場合より十分に安全な用量を用いるとされています。幼獣を用いた非臨床研究は通常実施しないとされていますが、通常の成獣での非臨床研究では不十分である場合には幼獣の使用を検討します。