ICH 概要

ICHとは、International council for Harmonisation(国際的な調和に関する評議会)の略で、医薬品の開発・製造に関わる規制に関するガイドラインを定める評議会のことです。ICHはヨーロッパ(EC、今のEUの前団体)内での医薬品規制についての評議会としてスタートしました。1960年代のサリドマイド規制問題を主な発端としているようです。1980年代にEC主導で規制の調和を目的とした会議が始まり、その後1990年代にアメリカ・日本を含む、いわゆる3局の調和というものが始まりました。2015年に大きな組織改編を行い、より広い国際社会での調和を目指す団体となったようです。

ICHは規制に関する調和されたガイドラインを定め、それを各国の規制に反映させることを目的としているようです。ガイドラインの作成には複数の手順が存在します。新規ガイドラインの策定はFormal ICH procedureと呼ばれ、Concept Paper、Business Planと呼ばれる2つの文書を定めた後、ガイドラインとしての策定が開始されます。Q&A Procedureは既存ガイドラインの運用におけるQ&Aを策定するときの手順です。Q&Aの策定にもConcept Paperを必要とします。Revision Procedureは既存ガイドラインの改訂や追加の手順で、Concept Paperを定めた後に改訂の議論が始まります。Maintenance Procedureは既存ガイドラインを維持するときの手順です(必要性はいまいちよくわかりません)。既存ガイドラインの維持についてもConcept Paperを必要とします。

上記のConcept PaperとBusiness Planは、ガイドライン策定の必要性、ガイドラインで規定すべき事象、ガイドライン適用によるコストとメリットについて記載された文書です。Concept Paperは主に提案要件(必要性と規定すべき事象)、Business Planは規制が医薬品業界に与えるコストとメリットについて述べたものです。この2つがガイドライン策定開始前に準備されるべき文書となっています。

ガイドライン策定のプロセスは5段階を経ることになっています。Step1がテクニカル・ドキュメントの草案作成とEWG(Expart working group、専門家のグループ)による確認、Step2がガイドライン草案の採択、Step3が草案の決定、Step4がガイドラインの採択、Step5がガイドラインの履行となっています。Step5に至った時点でガイドラインが規定され、各国でガイドラインに沿った規制を構築していくことになります。

ICHのガイドラインは大きく4つ(Quality、Safety、Efficacy、Multidisciplinary)に分けられており、各区分に複数のガイドラインが制定されています。Qualityは品質に関すること、Safetyは副作用に関すること、Efficacyは効能・効果に関すること、MultidisciplinaryはQuality、Safety、Efficacyに分類できない、複合領域に渡る事象に関するガイドラインを含んでいます。

https://app.box.com/s/1s0nit37ibqln9ap9az1f0hm91j5g4i8