GMP省令-バリデーション概要

バリデーションは、GMP省令 第2条に定義されている、製造管理・品質管理の方法が期待される結果を与えることを確認し、文書とすることを指します。要は、製造、試験、設備をきちんと稼働・実施でき、よい品質の医薬品がいつも製造できることを確認することを指します。

バリデーションの対象となるのは、設備、洗浄方法、製造方法の3つです。これとは別に分析方法のバリデーション(分析法バリデーションとも言う)も実施が必要ですが、製造管理とは独立に品質部門が実施します。

バリデーションを実施する時期は、① 新規医薬品を製造する場合、② 製造方法・洗浄方法・設備等を変更する場合、③ その他必要な場合 の3つです。その他の場合がどういうときなのか判断するのは難しいのですが、定期的に実施が求められている場合(無菌製剤製造時の無菌性確認)には実施する必要がありますし、品質に問題がある場合に確認が必要となることもあるでしょう。

バリデーションを実施するために、バリデーションの責任者(バリデーション責任者)を置く必要があります。バリデーションは文書にすることを指します。バリデーションはまず計画を文書化し(実施計画書)、バリデーションを実施した後に報告を文書化(実施報告書)します。ともにバリデーション責任者が承認し、品質部門に文書で報告します。

バリデーションの手順は、① 計画書・必要ならマスタープランを作成、② バリデーションの実施、③ 実施報告書を作成、④ バリデーション責任者による承認、⑤ 品質部門への報告 の順に進みます。マスタープランは常に作ることを規定されているものではありません。しかし、大抵のバリデーションは十分複雑であるため、作成が必要となる場合が多いでしょう。

バリデーションのうち、設備のバリデーションのことを適格性評価と呼びます。設備が製造に適しているか評価します。適格性評価は4段階で行われ、それぞれ設計時(DQ)、据付時(IQ)、運転時(OQ)、性能(PQ)の適格性評価と呼ばれます。DQは機器の設置・購入前に、IQ、OQは設置時に、PQは製品の製造時に実施します。

洗浄方法のバリデーションでは、製造機の洗浄後に、原薬やその他の原料、洗剤が機器に残らず、きちんと取り除かれていることを確認します。洗い残しがあれば、次の製品に前の製品の薬の成分が混ざってしまいます。連続した3回以上の製造後の洗浄について、機器に残留物がないことを品質部門が確認します。

最後に製造方法(製品)のバリデーションです。一般的に製造方法は製品により異なるため、製品ごとにバリデーションを行う必要があります。バリデーションの実施前に、使用する設備の適格性評価・試験方法のバリデーションが完了している必要があります。ある製品を3ロット連続で生産し、その製造・品質の状態が安定していて、あらかじめ設定していた手順通りに製造を実施できたかどうか確認します。品質に問題がない製品は製造所から出荷されます。出荷ができるかどうか判定する前に、PVは完了している必要があります。

製品のバリデーションには4種類あり、それぞれ① 予測的バリデーション、② コンカレントバリデーション、③ 再バリデーション、④ 変更時の再バリデーション と呼ばれます。予測的バリデーションば新製品の製造時、コンカレントバリデーションは製造数がいちじるしく少ない(年1ロット程度)製品の製造時、再バリデーションは必要な時に実施、変更時の再バリデーションは製造方法などを変更する時に行います。

バリデーションは複雑ですが、医薬品の品質維持には必要不可欠な過程です。概要では内容をつかみにくいため、それぞれのバリデーションについて別途プレゼンテーションを作成する予定です。