医療機器QMS省令 4 購買と製造

医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(Quality Management Systems、QMS省令)は医薬品のGQPに当たる省令で、薬機法第23条に医療機器の製造販売承認の条件として定められているものです。4では、医療機器製造に関する購買と製造についてまとめています。

医療機器の製造に使用する部品や原料などの購買物品は、その物が購買時に製品要求事項を満たすような手順を確立し、文書化するとされています。要求事項(規格に類似したものだと思って良いかと思います)は製品実現のために設定し、要求事項を満たすことができるよう供給者の評価や選定を行います。評価の記録を残し、保管する必要があります。購買要求事項などの購買に関する情報についても文書化、確認し、供給者側に提供することになっています。購買後、試験検査などで購買物品が要求事項を満たしていることを確認します。この確認は医薬品における原料受入試験に当たると考えるとよさそうです。医薬品原料の受入試験記録を残すように、購買情報の検証記録も保管します。

製造やサービス提供の管理も製造販売業者の責任となります(QMSでは、製造業者の責任範囲が比較的狭いようです。多くの業務が製造販売業者の責任となっています)。製品・サービス提供の計画を策定し、計画に従い実施します。計画策定時には、製品特性情報、手順書、要求事項情報、作業指図を利用できるように準備し、製造に見合う設備や器具を使用可能であるよう維持管理します。工程や出荷管理のための監視や測定(出荷試験や工程管理を指していると思います)の実施も必要となります。監視や測定の結果を持って工程進行の許可を出す、出荷判定を行います。製品受領者への送付や受領後の業務についても規定を設け、規定に従い実施します。包装や表示の手順も必要となります。製造やサービスの結果はロットごとに記録し、保管します。製造の清浄管理についても、GMPにおける衛生管理と同様に手順を設け、清浄の要求事項を定め、文書とします。文書中の記載に従い清浄を実施します。

医療機器のうち、医療機関へ赴いて専門の技師が設置することが必要となるもの(設置管理医療機器)については、設置とその検証方法を要求事項に従い文書化し、手順を定めた上で設置する必要があります。設置とその検証の結果は記録し、保管します。要求事項に含まれるサービス(付帯サービス業務)についても同様の手順、記録を必要とします。

工程出力情報を毎回検証できないような場合には、製造工程のバリデーションが必要となります。バリデーションでは製品実現計画の達成を検証します。医薬品製造におけるバリデーションと同様に、バリデーションの実施にはバリデーションの手順、実施要領等が必要です。ソフトウェア、滅菌工程のバリデーションが必要な点についても医薬品と同様で、それぞれ手順の文書化と記録、記録の保管を必要とします。