ICH E17 多地域での臨床開発 2

ICH E17は多地域での臨床開発についてのガイドラインです。2では差異の事前検討、被験者・用量の選択、エンドポイント設定についてまとめています。

地域間の差異については、MRCTs(Multi-Regional Clinical Trials)実施前に検討を必要とします。検討は最新の、信頼性の高いデータに基づき検討します。MRCTs実施中においてもデータ収集や検討を続けます。差異の事前検討では、病状や診断方法、治療方法。食事・環境・社会経済的状況、集団遺伝的状況の差異を考慮します。差異を緩和してデザインを選択することもできるようですが、研究の一般性は下がるとされています。緩和しても差異がなくなることはないため、地域で層別化した研究を実施するのが通常の方法であるとされています。

被験者の選択では、差異を緩和し、治療への理解を深めるよう、採用・除外条件を適切に設定します。病状やリスクファクター、画像解析・バイオマーカーなどの技術を利用した採用・除外条件の設定を行い、地域感での採用・除外条件の差がないように工夫します。

用量決定のため、民族ごとのPK/PDの検証を事前に実施します。検証結果によっては追加のPD・用量応答性研究を検討し、遺伝的特性とPK/PDの関連性を調べておくことが望ましいとされています。モデルを用いた推定も有用です。用量選択戦略については規制当局と議論しておき、確証的な(Phase III研究を指します)MRCTsでは基本的に用量は同一にして実施します。安全性の懸念がある場合には民族や地域ごとに用量を変えることもあります。

エンドポイントはすべての地域において同等の信頼性を持つものとします。治療法が許容可能で、かつ十分に治療効果を検出できるものとしてエンドポイントを設定します。エンドポイントに従い研究全体の被験者数を決定します。自明なエンドポイント以外ではエンドポイントを適切に定義し、エンドポイントはすべての地域で実施可能なものとします。エンドポイント検証の時期や方法は規制当局との合意の下で決定します。副次エンドポイントについても計画書に記載し、正確に定義しておきます。エンドポイントに見られる差異を最小とするアプローチを準備し、地域固有のエンドポイントとして副次研究での検証を行うこともあるようです。