ICH E9 臨床研究における統計解析の原則 4

ICH E9は臨床研究における統計解析の原則に関するガイドラインです。4ではデータの取得、モニタリングと中間解析についてまとめています。

治験責任医師が臨床研究を通じて収集したデータはスポンサーに送付されます。データは計画書に従い収集し、紙もしくはデジタルデータとして送付します。データ取得後、GCPに従い最終版データとします。

治験のモニタリングには2種類があり、一つは治験の品質確認のためのもの(GCPに記載されているモニタリングはこちらだと思われます)、もう一つは中間解析などの、結果の比較を伴うものです。前者は計画書の遵守、取得データの確実性、信頼性、研究デザインの妥当性、被験者の治験継続の状態を検証することが目的となります。この形のモニタリングは盲検やランダム化を解除する必要性がなく、したがって第一の過誤に影響を与えません。後者の中間解析を伴うものでは、処理群の比較のため、盲検の解除を伴うものとなります。中間解析における盲検状態の維持・解除の方法については計画書に記載し、計画書に従い実施します。

治験への参加基準、除外基準は計画書に定め、被験者の募集時期を通じて維持するよう努めます。臨床研究が長期に渡る場合、参加率の低さ、参加基準逸脱の多さなどをモニタリングにより明らかになった場合には、参加基準・除外基準をやむを得ず変更する場合もあるようです。変更する場合には統計的に妥当な方法で、盲検を解除せずに変更し、変更は計画書の改訂として実施します。

安全性検証などで長期処置における発生確率を検証する場合、中間解析を必要とします。中間解析により、想定されていた発生率と実際の発生率が異なる場合には、原因を特定し、対応が必要となる場合があるようです。対応により、研究の検出力を維持し、治験の品質を保つことが目的となります。同様に、長期の研究では計画時に想定していた検出力と実際の検出力に差が生まれることがあります。盲検下でのデータ検証を行い、データのばらつきや発生確率等をチェックし、事前予想と大きく異なる場合にはサンプルサイズ(被験者数、例数)を再計算する必要がある場合もあります。

中間解析は研究の完了前に処理軍艦の比較を行うことを指します。中間解析の実施は研究全体での統計(特に第一の過誤のサイズを指すと思われます)に影響を与えます。中間解析を実施する場合には十分計画を検討し、あらかじめ計画書に方法を記載しておきます。中間解析により治験の完了時期を決定する場合にはGroup Sequential Designsを用いるとされています。Group Sequential Designsは優越性研究や受け入れがたい有害事象が起こる場合などに用いられます。中間解析の計画はデータモニタリング委員会の承認を受け、解析は完全にConfidentialとして実施することで、治験責任医師、スポンサー、治験実施に関わるもの、被験者を盲検の状態に維持します。治験責任医師には解析結果のうち、治験を継続するかどうかの決定のみ伝えます。安全性や効能の確認は外部の独立したデータモニタリング委員会が実施する場合が多いようです。計画書に記載されていない中間解析は結果を不明瞭にし、治験の品質を下げるため避けることとされています。