ICH E15 バイオマーカー、薬理ゲノミクス、薬理遺伝学、遺伝子データの定義

ICH E15は遺伝的データの定義についてのガイドラインです。ガイドラインでは、Genomic biomarker(バイオマーカー)、Pharmacogenomics(薬理ゲノミクス、PGx)、Pharmacogenetics(薬理遺伝学、PGt)、Genomic data(遺伝子データ)、Sample coding(サンプルコード)を定義するとしています。

バイオマーカーとは、生理・病理的応答、治療応答を示すDNAやRNAの情報を指します。遺伝子の発現調節、機能などを含む情報で、DNAとRNAでそれぞれ定義されるとされています。遺伝子としての対象はヒトだけでなく、病理的に関与するウイルスや細菌のものも含みます。タンパク質の情報はバイオマーカーには含みません。DNAバイオマーカーには、SNPs(Single nucleotide polymorphism、単塩基多型)、繰り返し配列の繰り返し数、ハプロタイプ、DNA修飾やコピー数などが含まれます。RNAバイオマーカーには、RNA配列、発現量、RNAプロセシング(RNAの編集、いらない部分であるイントロンを切り出し、エクソンと呼ばれる必要な部分を残す反応、プロセシングにも多型があります)、microRNA(他のRNAリボソームなどに干渉して発現量を変化させるRNA)などが含まれます。

薬理ゲノミクスや薬理遺伝学は、DNAやRNAの性質による薬理への影響を調べる研究を指します。薬理遺伝学は薬理ゲノミクスからRNAの変化(発現量調節)を除いたものになるようです。PKやPDへの遺伝学的な影響などの探索を主に指しているようです。プロテオミクス(タンパク質研究)やメタボローム代謝物研究)はDNAやRNAとは独立であるため、含みません。

サンプルコードとは、患者と遺伝的データの関連性を示すコードで、患者との結びつきの強さにより4種に分類されるとされています。