ICH E14 QT間隔延長の評価 3

ICH E14はQT間隔延長の評価についてのガイドラインです。3では、QT研究の解析と危害事象等への対応等についてまとめています。

QT/QTcデータの代表値として、同一時刻におけるプラセボとの差の平均値の最大値(Largest time-matched mean difference)を評価するとされています。吸収や代謝の被験者間差が大きい場合にはCmax周辺での平均値の差を調べることもあるようです。QT/QTcは絶対値もしくは変化量の閾値を設定し、その閾値より大きい・小さい被験者を評価する形とすとされています。特徴的な異常波形が観察された場合には報告し、徹底的なQT/QTc研究(Thorough QT study)で検証するとされています。

臨床研究中の中止事象、承認後AE報告などがAEの情報源となります。臨床研究中はAEの発生が多くなることはそれほどない(多ければそこで中止になるからだと思われます)ので、承認後AE報告が重要な要素となります。不整脈心室細動、頻拍、失神やけいれん、突然死等が観察された場合には、QT間隔との関連性を検討します。臨床研究中には、Torsade de pointes(不整脈)をQT研究で確実に抑え、層別に解析し、深刻なAEに関しては時間経過を文書として記載する(Storyを残す)とされています。特にQT/QTc間隔延長による中止事象に注意を払います。

薬理学的には、心血管系のイオンチャネルの遺伝子多型がQTに影響を与えるとされています。多型とQT延長の関係は完全にはわかっていないようですが、QT事態は多型に応じてばらつくようです。特定のQT間隔をもつ患者における遺伝的特徴を調べる研究を行ってもよいとされています。

不整脈の発生頻度は低いため、承認後の副作用報告において初めてAEが見つかる場合もあります。承認後のAEとQT延長の関連性を調べ、特にAE発生リスクが低いと考えられる患者でのAEについて検証を行います。

申請・承認においては、QT延長リスクの大きい有効成分では、研究中止や承認ができない場合も起こりえます。QT延長の検証が無ければ、承認見送りの原因となります。QT延長においても、治療便益とリスクを比較評価しておくことが必要となります。QT延長が観察される有効成分では、ラベル(おそらく添付文書を指すと思われます)にQT延長の影響について詳細を記載することが望ましいとされています。