ICH S11 小児治療用医薬品の非臨床試験 2

ICH S11は小児治療用医薬品の非臨床試験についてのガイドラインです。2では研究のデザインについてまとめています。

幼動物を使用した研究(JAS: Juvunile Animal Study)では、様々な年齢にある動物を使用し、検証を行うことになります。一般的に種により成長そのものや器官の成長が異なることを考慮して検証する必要があります。用量範囲を調べる研究は、少数の幼動物を用いて行います。なるべく若い時期の幼動物を含めた検証を行い、年齢と用量耐性の関係を調べます。短期投与、限られたエンドポイント(おそらく評価項目)の検証を行います。用量範囲研究はGLPに準拠しなくてもよいとされています。耐性がない(副作用の発現が見られる)ようなら、臨床での年齢の影響を考慮する必要があります。年齢の影響を明らかにできなかった場合は、追加検証を行います。

使用する動物種は基本的に1種で、通常は成獣での多回投与試験と同じ種(一般的にはげっ歯類)を使用します。医薬品の作用ターゲットの有無、器官の成長などの特徴、臨床使用時の年齢との関係を考慮し、動物種の選択を行います。霊長類の離乳前幼獣の使用は推奨されません。離乳後の霊長類を使用する必要性もほぼないとされています。1種で十分な結果が得られない場合には2種目の使用を検討します。小二病を示す動物のモデルがあれば、使用することで作用や副作用の理解が進みます。

ヒト使用年齢を考慮した年齢の動物を使用し、動物やその器官の成長を考慮し、研究の期間を決定します。投与スケジュールでは血中濃度の維持を考慮します。スケジュールを分割し、異なる年齢の動物での効果を評価することもできるようです。投与後には、回復過程、投与完了後の成長への影響を検証します。医薬品の残留がなくなった後一定期間観察しますが、完全に回復するまで観察を続ける必要はありません。成長途中で投与を完了したときの、成長後の影響の評価を実施します。投与経路は基本的には臨床使用に従いますが、適切な全身曝露を達成できる方法を用いることとされています。複数の投与経路で臨床使用される医薬品であっても、検証する投与経路は1つでよいようです。用量は幼獣でのNOAEL(No Observed Adverse Effect Level)を達成できる濃度で有ることが望ましいとされています。体重減少を引き起こすような用量は用いないこととされています。高用量での使用については、M3、S6に従い決定します。