ICH S2 遺伝毒性研究 3

ICH S2は遺伝毒性研究についてのガイドラインです。3では哺乳類でのvivo試験についてまとめています。in vivo試験での染色体異常検出では、骨髄細胞の染色体異常・小核化を調べることが推奨されています。マウス・ラットを用いて試験を行い、骨髄細胞もしくは赤血球を対象として試験を行います。染色体異常や小核化をフローサイトメトリーを用いて測定する場合には、フローサイトメトリーの分析法バリデーションが必要となります。

in vivo/vitro試験の結果を検証するため、追加の遺伝毒性試験を実施する場合もあります。細胞分裂が起こりにくくなる場合、28日の試験が必要とされているようです。DNA変異を計測する試験法として、5つの方法が挙げられており、より正確にDNA変異を検出する場合もあるようです。

短期のin vivoでの遺伝毒性試験では、1-3回投与、2000mg/kgを上限として用量を決定します。一回の最大用量は1mMもしくは0.5mg/mLで、耐性(Torelance)を示した場合には毒性から用量を決定するとされています。最小用量は最大用量の2-3オーダー下の濃度になります。多回投与試験では、2つのオプションからより適したものを採用し、用量を決定します。血球や骨髄に毒性を示す薬剤では、毒性を示す半分程度の用量で実施します。必要に応じて追加試験を行い、遺伝毒性の検出を行います。

in vivo試験で陰性(遺伝毒性が検出されない)の場合には、in vitro試験の実施/陽陰性の結果に従い必要に応じて検証を追加します。in vitro/vivo両方で陰性の場合には通常遺伝毒性は無いとしますが、結果は薬物動態研究と合わせて考察するようです。

in vivoでの検体のサンプリングはOECD guidelineに従い実施し、最終投与の次の日、もしくは試験方法により設定された時間にサンプリングを行います。使用する動物の数もOECD guidelineに従うとされています。毒性試験に用いたすべての動物での遺伝毒性の検証は必要ではないとされています。性別特異的な医薬品では、適切な性別を選択して試験を実施します。急性投与での試験では性差がある場合に両方の性の動物を用い、性差がない場合にはオスの個体のみ使用して試験を行います。in vivo試験での投与経路は臨床使用予定の経路を用いますが、全身曝露を調べる場合には投与経路を変更することもあるようです。遺伝毒性研究では陽性対照(Positive control)を準備するとされていますが、すべての試験においての準備は必要なく、定期的に陽性対照の結果を得ておけばよいようです。