ICH S10 光安全性の評価 2

ICH S10は非臨床での光安全性評価に関するガイドラインです。2では試験法についてまとめています。

非臨床での光安全性研究では、動物系の選択と照射光の波長が重要となります。十分な感受性・特異性を持つ動物系を選択し、偽陰性の発生確率を低く保つことが重要となります。光条件は太陽光を模した標準光を利用します。UV-Aが5-20J/cm2含まれるようにし、UV-Aの影響を評価します。血中での光暴露を検証する場合にはUV-Bの評価は必要ありませんが、表皮に適用する製剤ではUV-Bの影響の評価を必要とします。

化学的検証法として、ROSの測定などを行います。十分な感度を持つ適切な系を用います。ROS測定は偽陰性が出やすいので注意することとされています。200μM程度の有効成分濃度での検証で陰性であれば、ほぼ安全と考えてよいようです。

in vitroの系としては、3T3細胞のニュートラルレッド吸収試験(細胞死の検証試験)が最も一般的なようです。3T3細胞がUV-B感受性なので、検証時にはUV-Bをフィルターで除く必要があります。角質を持つ培養皮膚組織での検証も有用であるとされています。眼剤向けのよいin vitro試験は現状無いようです。

in vivoではモルモット、マウス、ラットなどの全身曝露実験で検証します。光応答への感受性、対照物質に対する応答などを基に種を選択し、薬物動態のデータと比較の上で光暴露の影響を評価します。光暴露は1-数日間実施し、最大投与用量での検証を行います。紅斑や浮腫が生じれば初期の副作用の兆候であるとされています。NOAELを達成する用量と光暴露時間を決定します。可視光を吸収する物質では、目への影響を評価します。全身曝露では、光安全性の検証のみを行い、光免疫毒性については別途検証となるようです。

皮膚適用製剤では、基本的には臨床使用の処方・用量での試験を行います。皮膚に適用後、一定時間光照射し、光の影響を検証します。光免疫毒性についても検証を必要としますが、検証方法には標準化されたものがないようです。